アジアECの将来は?高まる台頭の予感!【インテージ調べ】

ECのミカタ編集部

 株式会社インテージは、アジアの人々の意識や行動を探るため、インテージグループ各社と協力し、アジア地域の人々を対象に様々なテーマで実施した自主企画調査をもとに「アジアインサイトレポート」を発行している。そして、今回のレポートでは、「アジア4都市のオンラインショッピングの利用実態」について発表した。

アジア4都市のEC利用実態は?

 調査対象になったのは、バンコク(タイ)、ジャカルタ(インドネシア)、ホーチミン(ベトナム)、デリー(インド)の4都市である。海外のEC市場というと、つい中国が思い浮かんでしまうかもしれないが、その他のアジア地域でもECは盛り上がりを見せているのだ。今回は、オンラインショッピング利用状況や使用デバイス、EC利用理由などの調査結果を紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。

 まずは、4都市におけるオンラインショッピングの利用状況だ。この結果によると、過去6ヶ月以内のオンラインショッピング利用者は、4都市の中でホーチミンが31.7%と最も高く、ついでデリー23.6%、ジャカルタ22.0%、バンコク16.5%となった。

 年代別の利用状況では、どの都市も20代・30代が中心であり、デバイス別利用状況を見ると、スマートフォンでの利用率が群を抜いて高いことがわかる。また、ホーチミンでパソコンからの利用率が80.2%と高いのは、職場のパソコンを使用して商品を購入する人が多いためだという。

 では、ここでアジア4都市のEC利用状況と日本のEC利用状況を比較して、アジアにおけるEC市場の特徴を考えてみる。総務省の調査によると、日本のオンラインショッピング利用率は、全年代平均で7割を超えているということだ。先ほど紹介した各4都市の利用率平均が2〜3割だったことを考えると、かなり高い数値であると言えるだろう。一方、日本におけるEC利用者は、意外なことに60代以上が最も多く、20代・30代の利用率を超えているようだ。

 日本では電子デバイスがかなり普及していて、それが全体的なEC利用率を高めることに影響していると考えられるが、アジア4都市では、スマートフォンを利用している若い世代によってEC市場が支えられているようである。ゆえに、これから先、アジア圏でさらに電子デバイスが普及すれば、日本のように全年代がECを利用することも考えられるが、現状では若者向けに越境ECを展開した方が有利だろう。

 ちなみに、購入カテゴリーTOP3では、4都市ともにファッションアイテムが1位で、過半数を占めている。次いで電化製品、化粧品が上位にあるということから、やはり若者によるEC利用率の高さがうかがえるだろう。

EC利用理由は?アジアのECはどうなっていく?次ページではそれを考察する

EC利用理由は?アジア圏でのECはどうなっていく?

EC利用理由は?アジア圏でのECはどうなっていく?

 ここまで、各4都市のEC利用状況を見てきた。では、なぜ実店舗ではなくECを介した商品購入をするのだろうか。上のグラフが示しているが、4都市ともに、「自宅へ配送」と「購入のしやすさ」が特に高いことがわかる。その理由だが、公共交通機関が日本ほど整備されていないアジア4都市では、移動に関する不便さが、オンラインショッピングの需要につながっていると考えられるのだ。ゆえに、今後EC周りの環境がさらに整えば、先ほど紹介した商品以外にも、様々な商品の購入にECが利用される可能性もあるのだ。

 このような、アジア圏の需要に気づいたのか、先日、ヤマトグループはタイで宅急便サービスを提供するための合弁会社の設立に向けて合意をした。タイにおける物流環境が整えば、今後よりEC市場が発展することは間違いない。ヤマトグループのタイ進出についての詳細は以下の記事を参考にするといいだろう。

【ヤマトグループがタイで宅急便、合弁会社設立】

また、東南アジアの消費者意識調査に関する記事もあるので、より詳細に消費者のニーズを把握し、越境ECに向けて参考にしてもらいたい。

【東南アジアの消費者意識を越境ECの戦略に活用する】

 EC事業者は、アジア圏でEC市場が盛り上がりつつあるということを改めて認識し、その上で各国のニーズを満たすEC展開をしてみてはいかがだろうか。そして、今後も海外のEC市場とそれを取り巻く環境の変化には要注目である。


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