ヤマトのオフィス販売支援サービス。EC発展に寄与か

ECのミカタ編集部

急速に拡大するオフィス置き型サービス

 近年急速に拡大するB to E(Business to Employee)市場。これは、企業が社員のために設置する置き型商品の無人販売事業などが代表される。オフィスに「置き菓子」などを設置し、社員はこれを欲しい時に購入できるというシステムだ。仕事中、小腹が空いたらオフィスを出ることなく菓子を購入することができ、災害といった万が一の時に備えて設置する企業も増えているそう。

 こういった置き型商品の無人販売は便利であるが、アナログに近いサービスだからこそ、解決するべき課題が多いのも事実だ。

 事業者からすると、現金回収・商品補充モデルではコストがかかるためサービス提供のエリア拡大が難しい。また、1円単位の価格設定ができなかったり、売上金に過不足が発生するというような課題もある。

 一方で、導入している企業や利用している社員からは、現金管理や支払いの錯雑さを指摘する声が挙がっている。利便性は高いが、このような課題が事業者や導入企業を悩ませている。

 現に筆者も利用したことがあるが、購入したい商品の金額を丁度所持していないと、清算ボックスから自力でおつりを取り出さなければいけない。つまりボックスにおつりの金額がないと、購入することができないのだ。こういった課題はアナログならではだろう。

ヤマトの新しいソリューションに何を見る?

ヤマトの新しいソリューションに何を見る?サービス概要図

 しかし置き型商品の無人販売サービスを課題を解決し、さらに利便性を上げるために、ヤマトホールディングス傘下のヤマトシステム開発株式会社(以下、ヤマトシステム開発)が立ち上がった。

 10月1日より、オフィス内でボックス等を設置し、菓子などのオフィスに置き型商品を無人販売する事業者向けに「オフィス販売支援サービス」の提供を月額1500円から開始するのだ。なお、本サービスは特許出願中だという。また、同日に森永製菓株式会社のオフィス向け食品販売「森永プチ十チャージ」へ本サービスを提供する。

 サービスの内容は、3つある。まずは決済機能の面で、クレジットカード決済用のスマホアプリを利用者に提供する。次に販売データ活用の面で、事業者へリアルタイムな販売実績を提供する。最後に物流業務の面で、オフィス内に置く商品の補充をヤマトグループが代行する。

ヤマトグループが商品をオフィスへ届け、利用者はアプリをダウンロードし、商品バーコードをスキャンする。在庫はオンライン上で管理されるため、補充が必要な場合はヤマトグループが再度オフィスへ商品を届けるといった具合だ。これにより、お金の管理も行いやすくなり、商品を正確に補充することが可能になる。

本サービスにより、事業者と導入企業・利用者は以下のメリットが期待できる。

【事業者のメリット】
・現金回収や商品補充のための要因が不要。
・自社で保有するサプライチェーンの規模を問わず、サービス提供エリアを拡大することができる。
・1円単位での商品価格設定が可能になる。そのため、より多くの商品を提供することが可能になる。
・商品購入者の金額間違いによる、売上金過不足がなくなる。
・販売データの取得が可能になるため、補充を効率的に行ったり、販売強化に活用できる。

【導入企業・利用者のメリット】
・現金不要なため、安心で便利なオフィス環境の実現が可能。そのため、従業員満足度の向上も見込める。
・導入企業の現金管理が不要となる。
・導入企業の事務処理などの負担軽減。
・商品購入者は小銭を持っていない場合でも、購入することができる。

 またヤマトシステム開発は今後、食品だけでなく女性コスメ用品や雑貨など、様々なオフィス置き型サービス事業者向けにサービスを拡充すると発表している。

 今回、オフィス置き型サービスのデメリットをヤマトシステム開発が解決することで、参入する企業が増えていくのではないだろうか。オフィス販売支援サービスによって、本事業がアナログからECに近い形になった。現状アナログの多くのサービスも、近いうちにデジタルへ移行していくことを予感させるサービスの発表だった。となれば、よりECの発展が見込めるのではないだろうか。


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