EC業界News1週間まとめ〜LINEショッピングの全貌/爽快ドラッグ&ケンコーコム合併に見る楽天の今後

石郷“145”マナブ

こんにちは。
メディア編集部 石郷です。

今週、読まれた記事は、こちら。
【速報】LINEショッピングが今からオープン!
https://ecnomikata.com/ecnews/14882/
楽天、ケンコーコムと爽快ドラッグの合併会社 Rakuten Directが7/1に誕生することを発表
https://ecnomikata.com/ecnews/14827/
ZOZOTOWNでシステム障害発生、現在は復旧。個人情報の漏洩等はないと発表
https://www.ecnomikata.com/ecnews/14869/
「ユニー・ファミリーマートHD」と「ドンキホーテHD」が業務提携を検討中
https://ecnomikata.com/ecnews/14858/
ソウルドアウト、マザーズ上場承認。7月12日上場予定
https://www.ecnomikata.com/ecnews/14816/

LINEショッピングの狙いはどこに?

LINEショッピングの狙いはどこに?

 今週、話題になったのは『LINE』。LINEカンファレンス2017に行き感じたのは、あらゆることがLINEの中で完結するな、と思った次第です。普通にトークの画面上での楽しめる要素も拡充されています。

 例えば、動画を配信するのは相手も動画をやっていなければならなかったのが、トーク画面上で動画を流し、それをトークで答えたり、その動画自体も顔認証で、装飾ができるようになっていて、おまけに、この画面上で、「LINE Pay」を選択すると、割り勘できたりします。コミュニケーションに絡む全ての要素がトーク画面の中でできることになっているので、より生活インフラとしての色彩が強くなりました。

 さて、同じカンファレンスで「LINEショッピング」が発表されました。ショッピングという名ではありますが、基本的には、カートはありません。つまり、ここでショッピングをするというよりは、LINEのユーザーとEC通販企業をつなぐ“ゲートウェイ”になっています。ここを通じて、EC通販企業へと行くユーザーのメリットは「LINEポイントがつく」ということなんです。

LINE自体がECをやるわけでなく購入のきっかけづくりをする。

 LINEは言います。いつもEC通販企業はモールに出店しても顧客情報も手に入らず、リピーターを作り出すといっても、モールの中でしかそれが成立しません。自分たちが顧客を持ち、ふさわしいプロモーションをするために、独自ドメインへの誘導を意識しています。そして、LINEを日常持ち合わせる人は、今の状況に合わせて、商品を選んだり、ブランドを選んで、EC通販企業にアクセスしたり、実店舗を持つ小売企業は、そのまま、近くの店舗に足を運んで、行くきっかけづくりをすることで、LINEを通したオムニチャネルを本格化させたい意向を持っています。

 この日、同じカンファレンス上で、ClovaというAIプラットフォームが発表され、この要素を搭載したWAVEというガジェットに向かってClovaと呼びかけると、天気を教えてくれたり、ありとあらゆるものを教えてくれ、IOTすなわち、日常にネットでやっていることを結びつけて行くことにLINEは足を踏み入れました。

 彼らがここのジャンルに足を踏み入れた理由は、僕が思うに、一つ一つのコンテンツをより強固なものにして行くためのものだと思っています。ユーザーが求めるコンテンツを選び出す精度が高くなれば、スマホ上のLINEの進化も後押しします。そして、内閣府との連携で、書類の電子申請などにつながる窓口になったように、あらゆるものの窓口になれば、より生活になくてはならないものになります。

LINEが生活のインフラとなったときに、ECは何ができる?

 コミュニケーションインフラから、それを土壌にして、個々人の生活を支えるライフインフラへと進化を図ろうとしているとも感じられ、だとすれば、彼らにとって、ECもまた生活を支える重要なコンテンツであると考えているでしょう。IOTのようにして、ネットが生活と密着することで、本当の意味でECはもっと身近な存在になって行く。それは無視できないでしょう。

 ただ、ECだけに特化させることなく、カートも用意しないで、在庫を抱えることなく、“ゲートウェイ”として考えたこの作戦は、LINEのユーザー数をフックにして、関わって行くのは、今の方向性を思えば、うなづけるものでもあります。送客した人の中で購入した人の数が2割を超えているという実績もあるので、そこは一定の価値があると思います。

 ただ、EC通販企業が皆、抱くことだと思いますが、本当に、わざわざLINEをひらいて、ショッピングという選択肢を選ぶのか、などの疑問点があるのも事実ですが、それはLINEがEC業者だけを見ることが自分たちの使命と考えていないから、当然です。何かをしてもらおうと考えること自体が間違っていて、LINEが自らを成長させるために考えたその構想に、どう自分たちが絡んでいけるか、って視点で考えていかないと、これからは生き残っていけないと思います。

楽天、Rakuten Directの真価が問われるのは・・・

 そのほかでは、楽天の傘下にあった爽快ドラッグとケンコーコムが合併して、Rakuten Direct株式会社となる話も話題となりました。ある意味、小売というものの構造が変わってきていて、かつネット通販の存在感が増しているということは間違い無いでしょう。

 僕は、爽快ドラッグを例にそれを考えてみたのですが、同社は、住友商事の傘下にあり、もっと過去をたどると、小林製薬の資本から生まれていて、その後、すぐに医薬品や健康食品、美容などを扱う同製薬会社の問屋(コバショウ)がメインの株主となり、その問屋(コバショウ)は日用品・美容関係では影響力の持つPALTACと合併しているという経緯があります。だから、ショップオブザイヤーも7年連続受賞するわけです。

 それが楽天の傘下として入り、かつ子会社として入ったということは、ネットの持つ販売力がそれだけ増しているということであり、楽天もまた、自分たちのグループの成長に寄与する部分が大きいと考えたということになります。かつ、ヤフーの傘下にアスクルが入っており、LOHACOが順調にヤフーとの相乗効果で成長しているところを見ると、同じショッピングモールを運営する立場として、直販の強化という部分は避けては通れないという思惑もあったでしょうから、こうした流れになったと思われるわけです。

 アスクルには盤石な物流網があることを思えば、彼らがそこで強みを発揮してくると思われるので、そこに対してどう太刀打ちするのか、ここが「direct」と言っているあたり、気にしておきたいところではあります。

それでは今日はこの辺で。
笑顔あふれる一週間でありますよう。
また、来週お会いしましょう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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