お中元とECの関係を明らかにする最新調査【Emotion Tech調べ】

ECのミカタ編集部

特許取得のクラウドシステムにより、NPS及びカスタマー・エクスペリエンス向上をサポートする「EmotionTech」を提供する株式会社Emotion Tech(本社:東京、社長:今西良光)は、大日本印刷株式会社(本社:東京、社長:北島義斉)と共同で、お中元・お歳暮を含むギフトの購入方法に関するNPS調査を実施し、NPSとカスタマージャーニーを用いた分析を行い、その結果を公表した。

どの購入方法がブランドや信頼度に関係するか

今回の調査では、例年ギフト(お中元・サマーギフト・お歳暮・ウィンターギフト)を購入している層に対し、ギフトを購入する際に「インターネット・EC」「百貨店・デパート」「カタログ通販」「スーパー」のうちどの方法で購入したかを調査し、購入方法に対するNet Promoter Score(NPS®)を計測しているとのことだ(NPS®は、Bain&Company、Fred Reichheld、Satmetrix Systemsの登録商標)。NPSとは、顧客ロイヤリティ、たとえば企業やブランドに対する愛着や信頼度といった項目を数値化する指標となっている。

<調査概要>
・対象者:20代以上の男女
・実査期間:2018/06/08~2018/06/11
・回答取得方法:インターネット会員への調査
・回答数:1,200件

なお当該調査では、購入方法に対するNPSが、①顧客の消費行動とどのような関係性があるか(NPSとの収益性の検証)、②購入方法に対するNPSを向上させるために、改善すべき顧客体験は何か、③各購入方法において改善すべき顧客体験がどのように異なるか、について分析を行った。②③についてはカスタマージャーニーマップを用いた分析を行っているため、「顧客体験を改善すべき最適なタイミング」についても明確な示唆を得ているとしている。

購入方法に対するNPSの計測についてだが、ギフト購入者に対し、「〇〇(購入方法)でギフトを購入することを、親しい友人や知人にどの程度すすめたいと思いますか?」という質問を行い、0~10点の11段階で回答を得た。NPSは10~9点をつけた人(推奨者)の割合から6点以下をつけた人(批判者)の割合を引いた数値のことを指すとのことだ。

「おすすめ」の影響力は?

「おすすめ」の影響力は?同社資料より(以下、同様)

今回の調査では、購入方法のNPSに加えて「どの程度利用しているか」、「ギフトの購入金額はどの程度か」について回答を得たが、それぞれ図の通りNPSとの関係性が見られたそのことだ。

推奨度を4以下の回答をした人が「毎回必ずその購入方法を利用する」と答えた割合は22%程度、購入単価の平均も「4,479円」程度にとどまったが、推奨度を10と回答した人は49%が毎回同じ購入方法を利用しており、かつ購買単価が「6,841円」であることが回答結果から判明した。

つまり、購入方法に対する推奨度が高くなるにつれ、利用者はその購入方法を選択する頻度が上がり、かつ利用金額が増えることを意味していることになる。また、批判者(6点以下)と推奨者(9点以上)では購入頻度・購入単価が大きく異なり、結果として推奨者は批判者の約1.5倍の収益貢献度合いがあることがわかった。

全体で改善効果の高い要素は?

全体で改善効果の高い要素は?

次に、NPS及びカスタマージャーニーマップを用いて、「どの顧客体験を改善すべきか」についての分析を行った。青線は顧客体験がNPSに対してどの程度影響しているか、つまりNPSを構成する様々な顧客体験の中で「どの程度重要な体験か」を数値で示している。今回は「口コミや評判」がNPSの向上・低下において最も重要な体験であることが示唆されたとしている。

一方、赤線は現状、各顧客体験がNPSを「どの程度向上・低下させているか」を示している。今回は「口コミや評判」が最もNPSを低下させており、「購入した商品自体の魅力」が最もNPSを向上させていることがわかった。

さらに、青線(重要度)と赤線(向上・低下度合い)を重ねることで「重要だがNPSを引き下げている体験」、つまり改善効果が大きい顧客体験を明らかにしている。今回の調査では「口コミや評判」が最も改善効果が大きい顧客体験であると考えられると述べている。

ネットで改善効果の高い要素は?

ネットで改善効果の高い要素は?

購入方法ごとのNPSは「インターネット・EC」が-20と最も高く、百貨店・デパート、カタログ通販、スーパーの順に続く形となった(各回答数は300)。前述した通り、ギフト購入者全体での分析を行ったが、各購入方法において改善すべき顧客体験を明確にすべく購入方法毎の分析を行ったとのことだ。

NPSが最も高かったインターネット・ECのカスタマージャーニーマップは図の通りとなった。「セールやクーポンの割引」が重要かつNPSを低下させている、つまり最も改善効果が大きい一方、重要な顧客体験である「購入した商品自体の魅力」「注文のしやすさ、手軽さ」についてはNPSを向上させられていることがわかった。

百貨店のカスタマージャーニーは?

百貨店のカスタマージャーニーは?

次に百貨店のカスタマージャーニーマップについて見てみる。改善効果の大きい要因は「商品種類の多さ」「お店のブランドや雰囲気」であることがわかった。インターネット・ECに比べると重要な顧客体験においてあまりNPSを向上させられていないことがわかる。さらに、特に改善効果が大きい「商品種類の多さ」について分析を行ったところ、下記図の通りの結果となった。

「商品種類の多さ」がNPSを引き下げている要因としては、「商品価格帯の多さ」が最もマイナスに影響している。つまり、百貨店・デパートにおいてはギフトの商品価格帯が限定されており、顧客のニーズを満たしきれていないと考えることができる。

お中元でも影響力が増すEC

調査結果にもあるように、購入方法への推奨度が高いほど、顧客の購入頻度・購入単価が高くなり、特に推奨者は批判者と比べ、約1.5倍の収益貢献度を持つことがわかった。また、ギフト業界全体においては、「口コミや評判」によってNPSが大きく左右される一方、口コミや評判が悪いためにNPSが下がっている企業が多い傾向があることもうかがえる。

さらに「インターネット・EC」に対するNPSが最も高く、ついで「百貨店・デパート」であった。「百貨店・デパート」のNPS向上には「商品種類の多さ」を改善することの効果が最も大きく、特に「商品価格帯」を広くすることによる改善効果が大きいと考えられる。

百貨店とネットに渡った広範な計測と分析を行った今回の調査。お中元といった贈答については晴れの要素もあり、伝統的にリアル店舗たる百貨店がそのニーズに応えてきたが、昨今の同業態の低迷とEC化の遅れが指摘される中で、ECの持つ影響力の増大が示唆される内容ともなったようだ。

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