各企業のビジネスの成否を左右するデジタル投資でCFO(最高財務責任者)の存在感が増大【アクセンチュア調べ】

ECのミカタ編集部

「ストラテジー」「コンサルティング」「デジタル」「テクノロジー」「オペレーションズ」の5つの領域で幅広いサービスとソリューションを提供するアクセンチュア株式会社は、企業の財務プロフェッショナルに関する調査を実施し、その内容を公表した。

調査概要

同レポートは、日本を含む10か国の700人以上の財務管理、および200人以上の有望な財務管理職候補(未来の人材)を対象に行なったオンライン調査の結果をまとめたものだそうだ。さらにCFO、上級財務管理職、CEO、最高データ責任者を対象に、50件近くの定性的なインタビューを実施している。インタビュー対象者は、業界分野と世界の地域が偏りなく反映されるように選定し、数十億ドル規模のグローバル企業の社員であることを前提条件とている。また調査は2017年12月から2018年4月にかけて実施された。

事業に新しい価値をもたらす分野の見極めが重要

事業に新しい価値をもたらす分野の見極めが重要調査対象企業の規模(同社資料より)

同社のアクセンチュアの最新調査レポート『パラダイムシフトするCFO:金庫番から、企業価値創出プロデューサーへ(The CFO Reimagined: From Driving Value to Building the Digital Enterprise)』によると、CFOの81%が、を、自身の主要な役割の1つと捉えていることが判明したそうだ。また77%が、自らの権限内で全社規模の業務改革を促進できると考えていることが浮き彫りとなっている。CFOの職掌範囲は従来の財務の枠を超え、組織全体に影響を及ぼす分野へと広がっていることがうかがえるとしている。

デジタル投資をけん引するCFO

デジタル投資をけん引するCFO

アクセンチュアのシニア・マネジング・ディレクターで財務・リスク管理事業のグローバル統括であるスティーブ・カルプ(Steve Culp)は次のように述べている。

「ここ数年で、CFOの役割は経理担当から企業全体のビジネス・パートナー、さらには戦略的アドバイザーへと進化しており、デジタル投資で計画された成果を導き出すガーディアン(守護者)的な存在となっています。さらには、CFOが企業におけるデジタルの推進役となる動きが急速に進んでおり、予測分析や人工知能を活用してデータを正しく解釈することで、財務部門の枠を超えて、価値創出、効率化、戦略の実践に向けた重要な意思決定に影響を及ぼすようになってきています」

このようにCFOは、デジタル投資をけん引しているようだ。CFOは今や企業におけるデジタル化を推進しており、回答者の77%がデジタル技術の導入による業績改善に向けた取り組みを統括していることがわかる。

また、同じく77%が先進技術で創造的破壊を引き起こし、自社や他社を巻き込んだエコシステムに恩恵をもたらす方法を模索しているようだ。CFOはまた、自動化を推進し、担当部門における業務処理速度の向上や改善を図るだけにとどまらず、他部門のデジタル化を先導し、ビジネスモデルの変革と新しい収益源の創出に向けた、テクノロジーの新たな活用法も積極的に探っているとしている。

データ活用でも存在感を発揮するCFO

データ活用でも存在感を発揮するCFO

同社によれば、従来の会計、管理、法令順守といった定常業務の自動化に伴い、CFOの役割は戦略的計画策定、アドバイス、分析といった職務へとシフトしている。定常業務を自動化することで、財務部門では新しく、よりやりがいのある仕事に集中できるようになり、データ分析から見えてきた課題に経営幹部と連携して取り組めるようにもなってきています。現在、財務関連業務の34%が自動化されており、2021年にはその割合は45%に達すると見込まれている。

この点に関してアクセンチュア・ストラテジーの財務・経営管理のシニア・マネジング・ディレクターであるクリスティアン・カンパーニャ(Dr. Christian Campagna)は次のように述べている。

「CFOのデータ活用の範囲は、社内の他部門にまで広がっています。それに伴い、CFOには人工知能やアナリティクスといった変革を促す技術や手法への理解を深め、企業全体のデジタル化と、新しいビジネスモデルの構築、そして新たな収益源の創出を先導していくことが求められています。こうしたチャンスに積極的に取り組むCFOは、企業にとって真のガーディアン(守護者)となることでしょう」

最高財務責任者(CFO)の重要性が増している

このように、アクセンチュア(NYSE:ACN)の最新調査によると、企業がデジタル化による破壊的変革を推進する上で、重要度を増していることが明らかになったようだ。今日のCFOは財務領域の総責任者であるのみならず、企業全体のデジタル投資を指揮し、投資に対する成果と影響を管理するという重要な役割へと拡大しているとしている。

今後の財務人材に求められるスキルとして同社は、CFOの役割が進化を続けるなか、求められるそれも変化しているとしている。今日の財務部門では、データの可視化から柔軟な考え方まで、幅広い能力を備えた人材が求められている。76%のCFOが、財務スキルは今後、現在の財務中心のものから、デジタル、統計、オペレーション、コラボレーションに関する高度なスキルへと移っていくであろうと分析している。また、CFOの78%が、従来の財務職務はやがて陳腐化し、変化が今後急激に進むであろうと回答していることも付け加えている。

CFOにとって今後最大の課題は、データを収集し、そこから洞察を得られる人材の採用や教育のようだ。CFOの81%が、今日の財務プロフェッショナルに欠かせないスキルは、データからストーリーを読み取るスキルであると回答している。柔軟な考え方と協調的な態度で、他部門のリーダーと効果的に連携し、戦略的アドバイザーの役目を果たすことが、何より重要になって来るだろう。

この点に関して、Halliburton CompanyのCFO兼エグゼクティブ・バイスプレジデントのクリス・ウェバー(Chris Weber)氏は次のように述べている。

「CFOに求められるものは、2つあります。管理や会計の経験、そしてCEOと連携するための戦略的な役割です。会計などの知識はトレーニングで身につければいいというわけではないものの、徐々に2つ目の役割が重視されるようになってきています」

EC事業をはじめ、あらゆる分野にわたって市場のスピードがさらに増す中において、CFOの役割がビジネスの成否まで左右し得る極めて重要なものであることが強く示唆される調査となったようだ。


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