SAPがAI(人工知能)を駆使した中堅企業向けECソリューションを投入

ECのミカタ編集部

SAP SE(NYSE: SAP)はSAP® Cloud Platformで構築されたSaaS(Software-as-a-Service)ベースのコマースソリューションである「SAP® Upscale Commerce」を発表した。

同ソリューションは人工知能(AI)を搭載しており、中堅規模の小売業や消費財企業、直販(D2C)企業向けに設計されている。また、SAPは革新的なエンタープライズアプリケーションを構築し、「SAP® C/4HANA」スイートのポートフォリオ全体に拡張できるオープンソースツール「SAP Cloud Platform Extension Factory」も発表した。

小さく始めてビジネスの成長に合わせた拡張が可能

今回の新ソリューションは、スペインのバルセロナにて開催されたSAP Customer Experience LIVEにて、SAP Customer Experience部門のプレジデントであるアレックス・アッツベルガー(Alex Atzberger)によって発表された。

発表に際し、アッツベルガー氏は次のように述べている。

「中堅企業の多くは、わずか数日で小規模なブランドやポップアップストアを立ち上げ、新しい製品や市場をテストできるようにしたいと望んでいます。今回発表したSAP Upscale Commerceは、まさにそのための包括的なソリューションであり、迅速かつシンプルな構築を実現することができます。これにより、非常に短期間で稼働開始できるため、小さく始めて、ビジネスの成長に合わせた拡張が可能になります」

オンラインと実店舗でのショッピングをシームレスに融合

オンラインと実店舗でのショッピングをシームレスに融合

SAP Upscale Commerceは、ソフトウェアとその導入の予算に制約がある中堅企業特有のニーズと、小規模なオンラインショップをすばやく展開したいというニーズに合わせて設計されている。まずは、米国市場のアーリーアダプター向けに提供を開始するそうだ。

同ソリューションにはAIが組み込まれており、何が最適に機能しているかを自動的に学習し、利益を生み出すチャネルを最大化する方法を継続的に示す。この中堅企業向けのソリューションは、数日での導入が可能でありながら、モバイルファーストのリッチな購買体験を提供し、オンラインと実店舗でのショッピングをシームレスに融合する。

また同ソリューションの特長として、今いる店舗にどんな商品が置いてあるか、また、そこにない商品はどこで販売されているのかを、顧客がモバイル端末を使って確認できる「エンドレスアイル」アプリを備えている。

顧客企業の継続的な成功を支援

同社は、新しいコマースソリューションは、企業間取引(B2B)、企業・消費者間取引(B2C)、およびB2B2Cを行う大企業向けに世界中で提供されているSAPの主力コマースソリューション、SAP® Commerce Cloudソリューションを補完するものだと位置付ける

またSAPは、クラウドネイティブのアプリケーション開発フレームワークにおけるオープンソース・イニシアティブのプロジェクト「Kyma」の一環として、ユーザーがAPI対応のアプリケーションを簡単にカスタマイズして拡張できる、アジャイルなオープンソースツール「SAP Cloud Platform Extension Factory」を、2019年から提供を開始するとしている。

これらの点についてアッツベルガー氏は次のように述べている。

「迅速に市場投入することは、ビジネスで優位に立つための最大の成功要因です。SAPは、数カ月ではなく1時間を切る速度で新製品を開発できる柔軟性を持ったオープンソースツールをお客様に提供し、この絶え間なく稼働するビジネス社会において継続的に成功を収めていただけるように支援します。SAP Cloud Platform Extension Factoryは、デジタル変革による影響が最も大きい企業が特にメリットを得られるように設計されています。新出のニッチブランドに打ち勝つために、お客様自身で革新的なサービスと破壊的なソリューションを構築できる機能を提供し、変革の課題を速やかに解決できるツールをお届けします」

EC市場の成長にともない、EC事業者間の競争も激しさを増している。今回、公表された新ソリューションは、多くの中堅企業にとって、わずか数日で小規模なブランドやポップアップストアを立ち上げ、新しい製品や市場をテストできるようにしたいといった喫緊かつビジネスに求められる本質的なニーズに対応したものとなったようだ。

ここでもまたビッグネームとして顧客企業のビジネスを強力に支援してきたSAPが高らかにその存在感を示したと言えるのではないだろうか。

 ECノウハウ


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事