【メルペイ】「MERPAY CONFERENCE 2019」の内容を公開

ECのミカタ編集部

株式会社メルペイは、2019年2月20日、スマホ決済サービス「メルペイ」の本格始動に先駆け、報道関係者およびパートナー向けカンファレンス「MERPAY CONFERENCE 2019」を開催したことを公表した。

将来的には新たな金融サービスを提供する

メルペイは、2017年11月に金融関連の新規事業を行うことを目的に、株式会社メルカリの100%子会社として設立された。メルペイでは「信用を創造して、なめらかな社会を創る」をミッションに、フリマアプリ「メルカリ」で培った技術力と膨大な顧客・情報基盤をもとに、「メルペイ」を提供し、将来的には決済手段の提供に留まらず、新たな信用を生みだし、様々な金融サービスを提供していくことを目指すとしている。

今回のカンファレンスでは、株式会社メルカリ代表取締役会長兼CEO 山田進太郎、株式会社メルペイ代表取締役 青柳直樹および執行役員VP of BusinessDevelopment and Sales 山本真人氏よりメルカリグループの今後の展望や、「メルペイ」のサービス概要・今後の戦略および、キャッシュレスの早期普及に向けたパートナーシップ戦略について説明がなされた。

全国135万か所で「メルペイ」が利用可能となる予定

全国135万か所で「メルペイ」が利用可能となる予定

以下、発表要旨となる。

「メルペイ」は、フリマアプリ「メルカリ」で利用できるスマホ決済サービスだ。「メルカリ」アプリを利用するユーザーは、「メルカリ」上での取引を通じて保有している売上金(売上金を利用するには、所定の設定又はポイント購入をする必要がある)を「メルカリ」内での商品購入はもちろん、全国の加盟店で利用することができる。

サービス開始第一弾として、三井住友カード株式会社との事業連携を通じ、2月13日よりiOS先行にて株式会社NTTドコモが推進する非接触決済サービス「iD」に対応した(2月末〜3月初旬にAndroidへの対応も予定)。さらに、2019年3月中旬(予定)よりコード決済にも対応する。ユーザーが「メルカリ」アプリで生成したバーコードを表示し、店舗側のレジで読み取る方式から開始予定だが、店舗側で提示したバーコードを「メルカリ」アプリ内のバーコードリーダーで読み取る方式にも今後対応していく計画だ。

これにより、決済端末機を保有していない小規模店舗(SMB)も含めた、全国135万か所で「メルペイ」が利用可能となる予定だ(「iD」決済対応90万か所/コード決済対応45万か所)。

利用可能加盟店と金融機関

<スマホ決済サービス「メルペイ」を利用可能な加盟店一覧(一部抜粋)>

なお「メルペイ」は、全国60行以上の銀行と口座連携を予定しており、「メルカリ」の売上金を保有していないユーザーでも「メルペイ」のチャージ画面で自身の銀行口座を登録することにより、その銀行口座から直接チャージし、「メルペイ」を利用することが可能となる。

<連携可能な銀行一覧(五十音順)全31行※2月20日時点>

愛知銀行、青森銀行、足利銀行、イオン銀行、岩手銀行、愛媛銀行、大垣共立銀行、香川銀行、北日本銀行、紀陽銀行、京都銀行、高知銀行、埼玉りそな銀行、静岡銀行、大光銀行、第三銀行、大東銀行、筑邦銀行、中京銀行、徳島銀行、栃木銀行、鳥取銀行、トマト銀行、西日本シティ銀行、福島銀行、三重銀行、みずほ銀行、みちのく銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、りそな銀行

<今後連携を予定している銀行一覧(五十音順)>

阿波銀行、池田泉州銀行、伊予銀行、SBJ銀行、群馬銀行、京葉銀行、滋賀銀行、四国銀行、七十七銀行、じぶん銀行、ジャパンネット銀行、荘内銀行、第四銀行、千葉興業銀行、筑波銀行、東和銀行、富山銀行、長野銀行、百十四銀行、福井銀行、北都銀行、北洋銀行、北海道銀行、山梨中央銀行、横浜銀行、他

導入店舗の拡大を推進中

導入店舗の拡大を推進中

メルペイでは、スマホ決済サービス「メルペイ」を導入する事業者(加盟店)を積極的に募集しており、2018年7月にはメルペイの100%子会社として、法人利用基盤の拡大に向けたサービスの提供を行う株式会社メルペイコネクトを設立、導入店舗の拡大を推進している。

同社は「メルペイ」の導入メリットとして次のようにまとめている。

◆1.売上金を保有されている方を中心とした「メルカリ」のアクティブな顧客基盤

月間利用者数1,200万人※1、平均月間利用時間5.3時間※2とSNSに比肩する利用率を有する「メルカリ」の顧客基盤に加え、ユーザーの多くは既に売上金を保有しており、面倒な入金・チャージの手間なく、そのまま「メルペイ」の決済が利用できることから、日常的に使われる決済となることが期待できる。

※1:FY2019.6 2Q平均 1ヶ月に一度以上利用したユーザーの数(「メルチャリ」は含まず)
※2:出所: Nielsen Digital Co., Ltd. (2018年1月)

◆2.年間約5,000億円の売上金を原資とした、新たな需要創出ポテンシャル

「メルカリ」での取引を通じて発生する売上金(年間約5,000億円)は、普段の生活費を支える月々の収入とは別の資金であり、使わなくなったものを売って得た臨時収入のため、ユーザーにとっては普段遣い+αの新たな消費需要を喚起する可能性がある。これにより、加盟店にとっても集客・収益拡大機会が期待できる。

◆3.「メルカリ」のデータ活用

「メルカリ」の売上金を保有するユーザーがどこに・どれだけいるのか等、「メルカリ」のデータを用いることで、ユーザーの決済利用ニーズが高い地域を特定し、加盟店展開を進める。これにより、メルペイは効率的に加盟店拡大を実現できるだけでなく、加盟店にとっては導入直後より使われる決済となることが期待できる。

なお「メルペイ」導入費用・決済手数料は次の通りだ。

[初期導入費用]
無料

[固定費用]
無料

[決済手数料]
1.5%

パートナーシップ戦略の第一弾

メルペイでは、スマホ決済サービス「メルペイ」の利用拡大のみならず、国内におけるキャッシュレスの普及を加速させるため、業種・業界を超えた中立でオープンなパートナーシップを推進していく計画だ。パートナーシップ戦略の第一弾として本日発表したパートナーおよび取り組みは次の通りだ。

【三井住友カード株式会社】

メルペイと三井住友カード株式会社は、メルペイが提供するスマホ決済サービス「メルペイ」の非接触型決済対応開始にあたり事業提携を実施した。提携を通じ、「メルカリ」上での取引を通じて保有している売上金を「メルカリ」内での商品購入はもちろん、コンビニエンスストアやレストラン、ドラッグストア、ファーストフード店など生活に身近な店舗をはじめ、全国90万か所の「iD」加盟店で利用することが可能となった。

【株式会社ジェーシービー】

メルペイと株式会社ジェーシービーは、コード決済普及を目的とし両社間で基本合意書を締結した。提携により、2019年春頃よりスマホ決済サービス「メルペイ」は、JCBが普及を進めるコード決済加盟店でも利用可能となる。

【KDDI株式会社】

メルペイとKDDI株式会社は、両社の提供するスマホ決済サービス「メルペイ」および「au PAY」において、キャッシュレスの普及促進を目的としたスマホ決済サービスにおける店舗開拓などの業務提携に関する基本合意書を締結いした。両社は、主に中小店舗を中心に、コード決済分野において「メルペイ」、「au PAY」の両決済サービスを提案することで、スマホ決済サービス導入を相互に推進していく予定だ。

広がる「メルペイ」

広がる「メルペイ」

それに加えて「メルペイ」では、地方自治体との連携も強化している。現在、以下の自治体と連携予定であり、今後も提携自治体を拡大する方針となっている。

<今後連携を行う自治体(※五十音順)>

神奈川県、鎌倉市(神奈川県)、岐阜市(岐阜県)、神戸市(兵庫県)、仙台市(宮城県)、千葉市(千葉県)、福岡市(福岡県)、箕面市(大阪府)

※提携内容の詳細は追って公表予定。

またメルペイでは今後の事業構想として、「信用を創造して、なめらかな社会を創る」をミッションに、今後「メルカリ」「メルペイ」の取引や購買データと連携し、ユーザーの「新たな信用」を生みだすことで、決済体験の拡張を図っていく計画だ。

直近では、「メルカリ」における過去の利用実績を元に、手元にお金が無くても店舗での商品購入代金を後払いで支払うことができるサービス「メルペイあと払い」を2019年春頃に展開予定。これまで「メルカリ」内で提供してきた「メルカリ月イチ払い」を、「メルペイあと払い」に名称変更し、「メルカリ」外の店舗での決済にも利用可能範囲を拡大する予定だ。

さらに同社ではネット決済への対応も予定しており、オンライン(EC)・オフライン(店舗)双方での決済に対応するという。将来的には、「メルペイ」のネット決済を使って商品を購入し、その購入履歴を元に、ワンタップで簡単に「メルカリ」に出品できるといった世界を目指すとしている。加えて、「メルカリ」の2次流通データを活かした商品開発支援や販促支援なども検討しており、今後加盟店に向けたビジネスメリットを提供していくとも述べている。

このようにメルペイは、ひとつのキャッシュレス決済手段の枠に留まらず、メルカリのエコシステムの一翼を担うだけでなく、公共をも巻き込み、マーケティングを含めた一大プラットフォームを目指すものと見られる。突如として勃発したキャッシュレス市場の熾烈な競争を前に、メルペイがどう市場、そして社会に浸透していくか注目だ。


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