“EC購入+店頭受取”のC&C(クリックアンドコレクト)が世界で加速 日本でもコロナ禍で浸透の兆し

ECのミカタ編集部

株式会社10Xは、小売・流通業界やネットスーパー運営事業者にビジネスでの活用をしてもらうことを企図し、ネットスーパーでの店頭・ドライブスルー受取「Click&Collect」海外事例のリサーチレポートを公開した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

調査概要

調査概要

10Xは国内食品流通のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させるため、ネットスーパー等の食品EC事業を垂直立ち上げ可能なソフトウェア「Stailer」および食品EC事業・Click & Collectモデルを含む配送事業の導入提案・戦略コンサルティングを提供している。

今回、海外のネットスーパー事業の事例を小売・流通業界やネットスーパー運営者の方のビジネスに役立てていただくことを目的に、Click & Collectモデルのリサーチレポートを無料公開した。

世界で浸透するC&C(クリック&コレクト)

世界で浸透するC&C(クリック&コレクト)

同社は今回のレポートのサマリとして次のようにめとめている。

◆日本のネットスーパーの課題は配送の逼迫とレガシーなシステム。配送課題の解決のために「配送キャパシティの流動化」と「非配送ソリューション」が必要

◆非配送ソリューションとして、顧客がネットで注文した後に、店舗・ドライブスルーで注文商品を受け取ることができる「Click & Collect」モデルが米・仏で成長している

◆米国ではe-groceryの利用方法としてClick & Collectが伸長しており、2016~2018年でe-grocery全体売上の約半分をClick & Collectが占めるまで急成長

◆店内混雑を嫌う顧客に支持されるだけでなく、CRMや荷物受け取り時の追加購入促進により、客単価は店頭顧客の2倍超へ

◆フランスではClick & Collectモデルが2000年から始まり、受取り店舗数も多く顧客にとって利便性が高い。結果、食品EC市場全体の60%をClick & Collectが占める

◆日本ではリソースの制約から「店舗優先」の戦略を取らざるを得ず、Click & Collectの導入率は1.6%とまだまだ低い

◆イオンは他社に先駆け店舗・件数を絞ってドライブスルー型を導入

◆日本でも食品小売のEC化率上昇に合わせ、地域特性にあわせた形でシームレスな店舗受取り・ドライブスルーを設計することができれば、Click & Collectの普及が進む可能性は高い

日本でもC&C浸透の兆し

日本でもC&C浸透の兆し

同社によれば昨今、新型コロナウイルスCOVID-19の世界的な感染拡大を背景に、食料品(グローサリー)のEC購入需要が急速に高まっており、日本においてもGoogleで「ネットスーパー」の検索が急増する等、従来は店舗の購入が主だった利用者からもネットスーパーの利用意向が高まっているという。

またネットで商品を注文し、商品の受け取りは店舗や駐車場、無人ロッカー等自宅以外の場所で行うショッピングスタイル「Click & Collect(クリック&コレクト)」モデルについても、混雑する店舗への入店や人との接触を避けられることから、世界的に注目が集まっている。日本においては、イオンリテールが2018年11月からネットで注文した商品をドライブスルー方式で渡すサービスを開始しており、現在4店舗で実施している。

このように以前からクリック&コレクトは世界のEC市場でも注目されてきたが、日本ではリソースの問題などから未だ利用が進んでいない。しかし新型コロナウイルスによる感染拡大による「巣ごもり消費」の浸透によって、活用が一気に加速することも考えられそうだ。

ECのミカタ通信19号はこちらから


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事