健康食品・飲料の約7割、化粧品の約4割以上でECシフトが進む、性年代別の違いも浮き彫りに【博報堂調査】

ECのミカタ編集部

株式会社博報堂(本社:東京都港区、代表取締役社長:水島正幸)のEC領域に特化した組織横断型プロジェクト「HAKUHODO EC+」は、EC生活者のEC利用実態・意識や生活意識などを聴取した「EC生活者調査」を実施し、その結果を公表した。

本調査は「EC生活者」を深く理解することを目的に、一般消費財の購買ログデータが付与されたモニターを使用しているため、購買ログデータと紐づけた分析ができる特徴的な調査になっているという。

年間購入金額が高いジャンルは「アルコール」「化粧品」「健康食品・飲料」

年間購入金額が高いジャンルは「アルコール」「化粧品」「健康食品・飲料」

購買ログデータからみるEC消費傾向を調べたところ、各ジャンルにおけるEC経由での平均年間購入金額のTOP3は、「アルコール(20,426円)」「化粧品(20,291円)」「健康食品・飲料(18,139円)」の順であった。また、性年代によって、ジャンルごとのEC経由平均購入金額に差があることも明らかになった。

アルコールと化粧品のEC経由平均年間購入金額を性年代別でみてみると、アルコールは男性40~60代(25,000円前後)、化粧品は女性40~60代(22,000~25,000円程度)のEC経由平均年間購入金額が全体比で高い割合を占めている。

EC購買シェア率は「健康食品・飲料」が約7割、「化粧品」が4割超

EC購買シェア率は「健康食品・飲料」が約7割、「化粧品」が4割超

直近1年以内にECを利用している調査パネルの一般消費財の購買ログデータを活用し、各ジャンルの購入額におけるEC購買シェア率を算出したところ、EC購買シェア率が高いジャンルは、健康食品・飲料(67.6%)や化粧品(45.8%)であった。

性別による違いも浮き彫りに

性別による違いも浮き彫りに

また、性年代別でEC購買シェア率を分析すると、「ボディケア・ヘアケア」「日用品」「飲料」「アルコール」のEC購買シェア率は、女性よりも男性の方が高い傾向にあった。

これらの結果から、EC生活者にとって、健康食品・飲料などの特定のジャンルにおいてはECでの購入が一般的な行動になりつつあることがわかる。また、ボディケア・ヘアケアや日用品、飲料、アルコールといった、従来はスーパーやコンビニなどのリアルリテールで購入されてきた商品の購入チャネルが、男性を中心にECにシフトしつつあることがうかがえる。

ECサイトのジャンルによって性年代別の利用傾向に差

ECサイトのジャンルによって性年代別の利用傾向に差

全体/性年代別のEC利用実態・意識を調べたところ、ECサイトのジャンルによって性年代別で利用傾向が異なることが明らかとなった。

大手ECモール利用者の性年代構成比は、全体と同じ傾向になっている一方、家電量販店利用者の性年代構成比は男性の割合が高くなっている。ファッション系EC利用者の性年代構成比は、女性の割合が全体比で高く、特に女性20代の割合が高くなることがわかった。

また、ネットスーパー系EC利用者の性年代別構成比をみてみると、男性20代は14.4%、男性30代は11.7%(全体との差分はそれぞれ+4.7pt、+2.9pt)となっている。男性若年層の割合が比較的高く、また全体との差分が大きいことから、男性若年層を中心にネットスーパー系ECの利用が進んでいることが推測される。

EC利用時に重視されるのは「利便性」と「経済合理性」

EC利用時に重視されるのは「利便性」と「経済合理性」

EC生活者のEC利用時の重視点のTOP3は、1位「送料・手数料がかからない」(45.5%)、2位「商品を検索しやすい」(34.3%)、3位「全体的に通常の価格が安い」(32.5%)の順となり、利便性や経済合理性がEC利用時に特に重視されていることが明らかとなった。

加えて、性年代別にEC利用時の重視点を分析すると、男性20代と女性40代以降において、「割引が利用できる」「ポイントサービスがある」と答えた人の割合は全体比で高くなったため、男性20代と女性40代以降は、「お得感」を重視していると考えられる。

本調査結果から、健康食品・飲料や化粧品など、リピート性の高い商品ジャンルを中心に着々とEC化が進んでいることがわかった。性年代別にみると、アルコールと飲料のEC購買シェア率が20代男性と60代男性で高くなっているなど、人口ピラミッドとは異なる傾向が表れるのも興味深い。

EC事業者は、こうした商品ジャンルごとの性年代別の傾向も踏まえたうえでマーケティング戦略を立てていく必要があるだろう。

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