SaaS市場、衰退ではなく成熟に伴う「第二成長フェーズ」へ エムエム総研調査

最終更新日:

ECのミカタ編集部

【SaaS is Deadは本当か?】約8割が成長の壁を実感する中、RevOps・AI・バーティカル化に活路を見出すSaaS企業の現在地

株式会社エムエム総研が運営するSaaSセールス特化型転職エージェント「マーキャリNEXT CAREER」は2026年7月3日、「SaaS is Deadが示唆する従来型モデルの限界と次なる進化」に関する調査の結果を発表した。

EC運営のパートナー企業を紹介してもらえるって本当?

調査概要

◆調査期間:2026年6月5日〜6月8日
◆調査方法:PRIZMAによるインターネット調査
◆調査人数:504人
◆調査対象:調査回答時にSaaS事業を行う企業の経営層、管理職、事業戦略・推進に携わると回答したモニター
◆調査元:株式会社エムエム総研
◆モニター提供元:サクリサ
◆出典:「SaaS is Deadが示唆する従来型モデルの限界と次なる進化」に関する調査(株式会社エムエム総研)

SaaS事業は全体として成長基調

「現在のSaaS事業の成長状況」についてたずねたところ、「年間30%以上の成長(12.1%)」「年間10%〜30%未満の成長(43.3%)」「年間1%〜10%未満の成長(29.2%)」という結果となった。「SaaS is Dead」が囁かれる市場環境にあっても、半数以上の企業が「年間10%以上」の成長を維持しており、全体としては成長基調であることがうかがえる。

「自社のSaaS事業規模(ARR、年間経常収益)」についても、全体の約6割が「ARR 1億円~50億円未満」の中堅ゾーンに集中した。

エムエム総研はこの結果について「この規模のSaaS企業は、初期のプロダクトマーケットフィット(PMF)をすでに達成し、事業として一定の顧客基盤を確立した段階にあると推測されます」と分析している。

自社プロダクトにAIを「いかに早く組み込むか」がカギ

「現在のSaaS市場において、成長の壁などを指摘する『SaaS is Dead』という風潮をどの程度実感しているか」と質問。約8割が「非常に実感している(成長の壁や事業環境の厳しさを感じる)(22.8%)」「やや実感している(以前ほどの成長は難しいと感じる)(57.9%)」と回答した。

「『SaaS is Dead』の要因として最も大きいと考えるもの」については、「既存顧客の解約率(チャーンレート)の悪化やLTV(顧客生涯価値)の低下(28.4%)」が最多に。次いで「新規顧客獲得コスト(CAC)の高騰(23.8%)」「AIなどの新技術による既存ビジネスモデルの破壊(18.7%)」という結果となった。

「現在のSaaS事業運営において最も大きな課題」についての回答は「AIなど最新技術のプロダクトへの組み込み(26.6%)」が最も多かった。

AIを自社プロダクトにいかに早く組み込み、顧客への提供価値をアップデートできるかが、次なる成長を左右する重要な鍵と捉えられている様子がうかがえる。

新たな価値創造のフェーズへと移行

「5年後のSaaSの提供価値は、どのような形に進化すると考えるか」と質問。「顧客の事業KPIに直接コミットするビジネス成果の提供(成果報酬型など)(28.8%)」が最多だった。次いで「特定業界や課題に深く入り込む専門的ノウハウ・コンサルティングの提供(28.2%)」「顧客の業務そのものを自律代行する労働力の提供(AIエージェント等)(17.9%)」と続いた。

本調査結果について、エムエム総研は次のようにコメントしている。

「かつてSaaSは、業務を効率化する『ツールの提供』から始まり、その後、顧客の業務プロセス全体を支援する存在へと発展してきました。そしてこれからのSaaS企業には、単に機能を提供するだけでなく、顧客の売上向上や生産性改善といった事業成果の創出にまで踏み込み、特定業界の課題解決や事業KPI達成により深くコミットする『成果創出型』への進化が求められています。『SaaSは死んだ』のではなく、ツール提供型SaaSの時代が成熟し、新たな価値創造のフェーズへと移行しているのです」

自社の強みを再定義し、顧客に提供する価値を機能から成果へと拡張していく。それが、これからのSaaS企業が第二成長曲線を描くための重要なテーマとなるだろう。

関連記事:検証「SaaSの死」は「ECの死」へとつながるのか?【前編】 EC事業者が知っておくべき2026年の重要トレンド