スーツ業界「オーダースーツ」が成長セグメントに TDB調査

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ECのミカタ編集部

スーツ業界、量から質重視へ転換 「オーダー」が市場けん引 主要7社の売上高は5%減にとどまる 若年層の「勝負スーツ」需要下支え

株式会社帝国データバンク(以下、TDB)は2026年6月9日、春の卒業・入学・入社で高まる「スーツ」需要について、2025年度(2026年3月期)業績における主な紳士服7社のスーツ事業について調査・分析を行った結果を発表した。
※主要な紳士服7社(青山商事株式会社、株式会社AOKIホールディングス、株式会社コナカ、株式会社はるやまホールディングス、株式会社銀座山形屋、株式会社タカキュー、グローバルスタイル株式会社)の「スーツ・フォーマルウェア」セグメント売上高合計
※2025年度(2025年4月~2026年3月期)の数値はTDBによる一部推計値を含む

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「スーツ売上高」2年連続で減少も「オーダースーツ」が堅調

2025年度(2025年4月~26年3月期)における主要7社の「スーツ事業」セグメント売上高合計は3386億円(前年度比5.2%減)と、2年連続で前年度から減少した。

リモートワークの定着など働き方が多様化したことで、従来の既成ビジネススーツやドレスシャツの売れ行きが鈍く、市場全体は伸び悩みが続く。

一方、重要なプレゼンや結婚式などのフォーマルな場面で着用する「勝負スーツ」向けのオーダースーツは堅調。「量から質」への転換がさらに進んだ1年となった。

なお、連結売上高では紳士服以外の事業が好調なAOKIホールディングスが、初めて青山商事を抜き業界首位となった。スーツ(紳士服)事業単体では、青山商事が依然トップとなる。

※画像元:「主要スーツ・紳士服7社」動向調査(2025年度決算)(株式会社帝国データバンク)

「オーダースーツ」が重要な成長セグメントに

紳士服7社の店舗数は2025年度末時点で2284店舗となった。コロナ禍前で最も多かった2017年度末(2997店)から約700店・2割減少し、過去10年で初めて2300店を下回った。コロナ禍以降に各社で進んだ、大規模な店舗整理の影響が残った。

リモートワークの普及やオフィスカジュアルの浸透に伴い、従来型の既成スーツ市場は縮小傾向にある。

こうした中、オーダー専業のグローバルスタイル(大阪・中央)が2025年に展開した「ガチスーツ」をテーマとしたショートドラマは、SNSを中心に爆発的なヒットを記録。「特別な場面ではきちんとした質の高いスーツを着たい」という潜在的なニーズの掘り起こしに寄与した。

一方、業界首位の青山商事(広島・福山)では、従来ブランド「Quality Order SHITATE」に加え、カスタムオーダー専門店「ユニバーサル ランゲージ メジャーズ」を展開。大手各社による高付加価値生地や、オプションの充実面を打ち出したハイエンド(高級)モデルのオーダースーツの展開も本格化している。

こうした状況についてTDBは「普及価格帯・高級ラインの双方で、客単価や付加価値を高めるための重要な成長セグメントとして『オーダー』への注力が進んでいる」と分析している。

「経営の質」を重視する傾向、より強まる

2026年度のスーツ・紳士服業界でも、既製品よりも単価が高いオーダースーツを軸に、各社で需要の取り込みを図る。

一方、2000年代以降進んだオフィスカジュアル化などの影響で、スーツ需要の総量は今後も縮小が避けられない。そのほか、既製品を中心とした格安スーツの登場、円安の進行による海外産生地の価格上昇など、業界全体で価格改定やコスト削減が課題となっている。

TDBは今後について「こうした条件の下、各社は引き続きオーダースーツへ注力するほか、『カジュアル・レディース領域』の拡大、店舗の小型化・高効率化による『ローコスト運営』などを進めており、販売量から経営の質を重視する傾向がより強まりそうだ」とコメントしている。

本調査結果は、アパレル事業者にとって重要な示唆を与えるものといえる。今後の動向を注視しつつ、これからの施策を検討したい。