UGC活用でCVR1.5倍!データによる評価でPDCAで加速

ECのミカタ編集部

UGC活用でCVR1.5倍!データによる評価でPDCAで加速 株式会社Greenspoon
マーケティング本部長
三原 壮太郎
Sotaro Mihara

コロナ禍でEC事業への新規参入が増えて、オンライン広告単価が上昇し、新規顧客獲得の効率悪化の声が見受けられる事業者が増えるなか、UGC活用ツールの導入で、短期間で顧客獲得の成果が得られたという定額制パーソナルフードのGREEN SPOON(グリーンスプーン)。同社マーケティング責任者の三原壮太郎氏に、その取り組みを伺った。

野菜に特化したサブスク、 発売2年弱で累計100万食

はじめに、GREEN SPOONとはどのような商品か教えていただけますか。

野菜を簡単に楽しく摂れるサブスクリプションサービスで、2020年3月に販売を始めました。カラダの悩みや生活習慣を伺うパーソナルテストで不足しがちな栄養素を特定し、その人に最適な野菜やフルーツを、スムージーやスープ、ホットサラダにして毎月宅配するサービスです。

なぜこの事業を始めようと思われたのですか。

20代の頃に感じた「食生活の悩み」と「幸せとは何か」という問いがきっかけです。

代表の田邊と私は、前職の同期でお互い、昼夜問わず働き、健康的な生活とはほど遠い不規則な食事をしていました。特に野菜を摂ることが難しく、健康を気遣うといえば、野菜ジュースを気休めに飲む程度でした。「健康のために、自分のカラダに必要な野菜とフルーツを食べる」そんな当たり前なことが、現実では正しい食知識も時間もないため難しく、どうすることもできずに小さなストレスを感じていました。

その後、田邊は海外での2年間で重要な気付きを得ます。それは周囲の人々の自己肯定感の高さについてです。運動や健康的な食生活を通じて、自分の身体に気を使うという「セルフケア」の習慣が根付いているからこそ、高い自己肯定感を保てているのだと感じました。そして「自己肯定感を高く持つこと=幸せ」という気付きが20代の自身の経験とつながり、カラダもココロもセルフケアできるサービスをやろうという想いが生まれました。その第一弾がパーソナルスムージーです。野菜やフルーツを手軽に摂取するのは難しいけれど、素材が全て詰まったかたちで自宅に届いて、あとはミキサーにかけるだけとなれば、簡単だし手軽に栄養を摂取できる。それが日常的になれば、結果としてセルフケアとなるはず。そうして、GREEN SPOONという事業が始まりました。

今年2月には累計販売数100万食を突破しましたが、ECをメインに販売している食品事業者の中では、販売開始から1年10ヶ月で100万食という記録は、異例ともいえる速さのようで、僕らが考えていたよりも、GREEN SPOONは幅広い方に喜ばれていると実感しています。

効果検証しないまま、 インスタ投稿を掲載

その成長に関係する顧客獲得について伺いますが、これまでどんな取り組みをされましたか。

最初の顧客獲得の施策は、創業メンバーの3人が、それぞれの友だち100人に買ってもらい、食べた感想をもらうことでした。まさに手売りで、お客様の声を聞いてまわる感覚です。たくさんの野菜を手軽に摂れることにここまで特化したサービスがなかったこともあって、ターゲットとしていた忙しく働く女性からは、「こういうものが欲しかった」という声をとても多く頂きました。その後、PRやInstagramの広告を主軸に、GoogleやYahoo!の検索型広告からFacebook、LINEといった主要SNSの運用型広告へ着手していきました。

しかし、媒体の広告配信単価も以前にも増して上がりやすくなっており、オンライン広告の獲得効率の改善は重要なテーマになっています。そこでGREEN SPOONではご利用いただいたお客様のUGCの活用に力を入れています。

なぜUGCに着目されたのですか。

UGCがあることで、お客様が「GREEN SPOONのある生活」を想像しやすくなるためです。UGCの活用は早くから取り組んではいて、商品の購入・利用経験のあるお客様から写真画像の提供を頂き、自分たちが選んだものをECサイトに掲載していました。ただ、それが果たしてお客様が本当に知りたい口コミや見たい写真なのか、実際に購買行動にどう影響しているのか、は検証できずにいたため、確証のないまま続けている状態でした。その運用変数に可能性を見出し、効果検証をしたいと考えたときに、LetroというUGC活用ツールを見つけて、昨年12月に導入しました。

Letroにはどんな機能があって、どういう成果がありましたか。
実際に導入して感じたのは、効果を可視化することの重要さでした。UGCごとに、どれくらいクリックされたか、どれくらい購入に至ったかの割合が分かることで、データをもとに評価と仮説立てが可能になり、PDCAの精度と回転速度が改善されました。その結果、昨年12月に導入後2週間でCVRが1.5倍に跳ね上がりました。

また野菜スープやホットサラダといった、商品カテゴリ自体の違いにより、訴求内容が異なるのは当然ですが、弊社ではシーズンやモーメントに合わせ、商品の訴求や表現を変えているため、その時々でお客様が見たいUGCも変わってきます。そういったお客様のニーズを捉えながら、成果を短期間で出すための仕組みが整った、Letroというサービスに魅力を感じています。

「自分ごと化」できるUGCに 高い成果

「自分ごと化」できるUGCに 高い成果

どんなUGCが効果的でしたか。

見た人が思わず、「私と一緒だ」や「こういう日あるなあ」と「自分ごと化」できるUGCが良い傾向です。逆に私たちが良かれと思って掲載していたUGCが、実は効果が良くなかったというケースもありました。それは、きれいすぎる写真です。商品のブランドイメージを考慮し、インテリアの一部のように食卓にきれいに盛り付けられた写真をUGCとして使っていたのですが、獲得効率の観点では、イマイチでした。

最後にUGC施策を含めた今後の展望をお願いします。

お客様からの声で意外だったことの一つが、週7日で自炊するママからの「GREEN SPOONを重宝している」というお言葉です。その背景には「自分の手料理の味付けに飽きた、小学生の息子の好みに合わせた料理ばかりのため、時には大人の味を楽しみたい」という思いがありました。そういったママの1人ごはんのニーズもあるのかと新たな発見でした。
痩せたい方と太りたくない方のインサイトや知りたい情報が異なるように、僕らが価値を提供したいお客様は誰なのかの設定次第で、訴求する内容も異なります。Letroの運用型UGCのように成果を出すための仕組みを活用しながらもお客様を主語に『どうすれば喜ばれるか』を今後も考えていけるブランドでありたいです。

ECのミカタ通信vol.23 ~変化を遂げたEC市場!今後の”あるべき姿”とは~

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本記事は、2022年3月31日に発行された冊子「ECのミカタ通信vol.23」に収録されています。
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