【アメリカに次ぐポテンシャル】台湾市場の魅力を出身者にインタビュー
BeeCruise株式会社(BEENOSグループ)にて日本法人向け海外進出サービス事業の企画・国内セールスや海外セールスなどの統括をしております岩本です。
前回は「【日本製品はアメリカでも人気伸長!】エンタメと親和性のある越境EC」について解説いたしましたが、今回はアメリカに次いで注目度の高い越境EC市場、台湾についてインタビューを交えて解説してみたいと思います。
具体的には、以下について徹底解説していきます。
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・台湾の市場について
・台湾のEC事情
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■台湾の市場について
中国やアメリカの陰に隠れてあまり目立ってはいませんが、越境ECのマーケットとして注目されているのが台湾です。台湾でのインターネット普及率は90%(※1)を越えており、ECの浸透度も非常に高いため越境ECをはじめる足掛かりとして土壌は十分に整っています。
※1 https://www.internetworldstats.com/asia.htm#tw
現状でも台湾はEC市場としての人気が高く、米国に次いでECによる海外販売先の3位にランクインしています。台湾進出の理由としては送料の安さ、トラブルがあったときに迅速に対応できる距離感、親日家が多いことなどが理由として挙げられます。
台湾内のECの市場はどうなのかというと年々伸長を続けており、特に家庭用品、日用品、食品などが良く売れています。近年の伸長にはコロナウイルスの影響による巣ごもりの後押しもあるとは思いますが、コロナが収束してもECの売り上げは伸長していくものと思われます。巣ごもりをきっかけにECの利用率が高まり、その利便性を確認することになった人々は継続してECを利用するでしょう。
以下の画像は台湾国内においてECの売り上げが増大したことを示すものです。ECの売り上げは2桁に上り、好調であることが示されています。更に小売りのインターネット販売額が過去最高になったとも記載されています。
ECの市場規模はこちらのページをご参照ください。https://ecnomikata.com/column/28369/
上記のグラフはBuyeeでの2020年1月~2021年5月31日までの売り上げのランキングです。一位は実用品のPCサプライ品やアクセサリー類。2位は趣味性が強く出たトレーディングカード。日本のホビー類は総じて海外に人気が高いですが、それは台湾も同じですね。3位はレディースのトップス。洋服がランクインしているのはアジア人は体格が近いことから洋服のサイズ感が似ているためでしょう。また、台湾は日本との距離が近く送料が安いため、軽量な洋服類が購入しやすいという面もあるでしょう。
■台湾のEC事情
台湾のEC事情について日本に帰化した元台湾人の弊社サービスプランニング担当の棟方源さんにインタビューしました。
・台湾人にとってECは主に何を買うために利用する?
棟方:今は何でも買いますね。台湾は物流や発送が早く、台北だと2-3時間以内に商品が届くようなレベルなので、ティッシュなどの日用品等をアパレルも含めて何でもネットで購入しています。また、法律がユーザーファーストで返品が可能なので、特に理由がなくても返品が可能です。台湾エリアの方にとってEコマースは生活にとって重要ものですね。
・越境ECは昔と比べて普及した印象はある?
棟方:もともと10年前から転送コムを使って日本の商品を購入する人も多かったです。台湾は台湾のブランドやメーカーが少なかったことやファッション・カルチャーについて他国からの影響を受ける傾向が強いエリアだったため、海外のサイトへの抵抗感が日本に対して少ないです。日本やアメリカ、ヨーロッパから直接商品を購入したりしています。結構みんな大胆で、知らないサイトでもどんどん買うんですよ。日本は海外のサイトに対して慎重なイメージですね。海外からの購入がかなり浸透しており、直接タオバオから購入したりBuyeeを活用することも多いです。台湾のShopeeでも、2-3割は中国から発送される商品ですが、そういったことも気にせず活用しています。
中国からは配送が10日から2週間くらいかかっても価格に惹かれて購入することもありますね。インテリアやアパレル、海外コスメ・スキンケア等は配送に時間がかかっても欲しいものだから待てるのだとおもいます。
―越境ECについては以前から利用者がいたとのこと。海外のサイトへの敷居も低く、幅広い商材に関心があるようです。越境ECが参入するには好条件と言えます。Shopeeについてはこちらの記事をご参照ください。https://ecnomikata.com/column/29335/
・スマートフォンでよくECサイトを見る?
棟方:自分が知る中では基本スマホがメインですね。人によるとは思いますが、みんなスマホで購入します。※日用品や価格比較の時はPCサイトで見る方もいますね。
・台湾で有名なKOL・KOCは?
棟方:有名なKOLはタレントみたいになっています。
たとえば蔡阿嘎さん、グループでやっている這群人 TGOPさんなど。影響力の強いKOLは各ジャンルで様々な人がいます。
SNSはLINE、Facebook、Instagramが強いです。
マーケティングに有効なチャネルとしてYouTubeは認知拡大に有効ですがコスパは良くないです。衝動買い商材、コスメなどは、綺麗に見せられるインスタグラムのほうが有効かもしれないですね。
台湾はSNSで情報が拡散する文化があり、Facebookなどですぐ拡がります。日本の情報もすぐFacebookで拡散しますね。台湾では日本の観光地など速いスピードで台湾中に拡散されるんですよ!
台湾SNSの活用が非常に重要となってきますが、逆に情報量が多すぎてどう絞るのか等は難しいですね、、。明確なマーケットを探すのには少し工夫がいるかと思います。
―普及しているSNSはグラフの通りですね。マーケティング方法としてKOL・KOCの活用だけでなく、SNSで拡散されるような魅力的な商材の見せ方にこだわる必要があります。自社が扱う商材に合わせてターゲットを絞り込んでいきましょう。
・ECとリアル店舗の使い分けはどうしてる?
棟方:日本と同じ、カメラやPC等の商品を買うときに店舗を見に行って実物を見て確認して、店舗で買ったりやっぱりECで購入したり。アパレルなら試着等をしたり。「絶対ネットで買う」や「リアルで買う」というこだわりはないですね。
価格比較やどこがお得等を比較する傾向が台湾は非常に強い。同じカメラでも一番安いところやポイントがもらえるところで購入したいんです。品質ももちろん重視しますが、価格比較サイトが結構人気があります。みんなキャッシャバックやポイントバックなどを活用しています。
―価格比較傾向が高い台湾向けにはマーケティング方法として競合に勝てるような価格設定やキャンペーンが求められるので、戦略的なマーケティング体制で施策を打っていくべきです。
・日本のブランド情報はどうやってどこで知る?
棟方:SNSがメイン、今は旅行は難しいがこれまでは訪日して知っていました。年に1回訪日する人も多かった。日本のお菓子やブランド等を気に入ったら台湾に帰ってから引き続き購入したりもしていました。
台湾はLINEのグループがかなり発達していて、何百人単位のグループを作っていてOLやママ同士のグループなど見知らぬ関係でもグループ内でお勧めしたりレコメンドしあっています。クローズドなSNSのグループも人気があり、日本の家電量販店で使えるクーポンまで拡散しています。
―おそらくこのグラフ内の口コミ内にはSNSの口コミも含まれていると想定されます。情報の拡散力が高い台湾ではSNSを活用した施策も検討したほうが良いでしょう。
・日本の商品はどこでも買える?
棟方:ドラッグストアとかマツモトキヨシ、ドン・キホーテも台湾にあります。
日本の商品は多いが値段の差があるため本当は日本に来て直接日本で購入するか代理購入で買うのが一番いいなと思っています。日本の商品は買えますが3倍から5倍の値段がします。街の中でどこでも買えますが、台湾人は価格にかなり敏感なので、絶対日本で買った方が安いと思いながらドラッグストアで買うこともあります。
―日本で買うか代理購入が安いと感じている人が多いというのは非常に興味深いことですね。ここまで越境ECへの意識が高ければその点は参入障壁は非常に低いです。
・618はどんな存在?
棟方:もともとは、中国のキャンペーンですが台湾にも近年進出してきました。台湾のECサイトは中国のECサイトに影響されているため、発達してきました。インパクトとしてはW11やW12には劣りますがモノの動きづらいオフシーズンの6月の購買促進としては有効です。台湾も日本と同じで、年末商戦・旧正月が一番盛り上がるため、6月7月8月はみんな外に出たり旅行に行ったりしています。夏休み海外に行ったりだとか。今はなんでもEコマースで買っちゃうので618は人気。
日本は安心・近い・綺麗 観光としては一番人気があります。日本のアニメもまだ強い。みんなアニメとコラボした観光地とかは行きたいと思っています。毎年わざわざ日本に来たりと日本好きは多いですね。中でも自然が好きって人が多いかもしれません。台湾は四季がなく花もないので日本の桜や紅葉、雪などに魅力を感じています。1年中来ても飽きませんね。
―日本のアニメコンテンツの人気ぶりが再確認できました。エンタメ商材の強さを感じますね。また旅行と組み合わせた商材の開発も良いでしょう。618をはじめ様々な買い物セールが盛り上がっている中華圏に踏み込んで販路を拡大することも視野に入れてはどうでしょう。
・台湾のファッションはどんなものですか
棟方:昔は日本の雑誌に影響されていましたね。台湾はファッションのルーツは多いです。アメリカ・韓国・日本のブランドなどを購入しています。その中でも日本のアパレルのファンが多いです。メイドインジャパンにこだわりがある人がいて、日本の職人文化が好きな人もいます。
ありがとうございました。なお、インタビューの回答は棟方さん個人の意見・見解として参考くださいませ。
―日本自体のブランド力を感じてくれている人がいるということはアパレルに限らず伝統工芸品などの商材も可能性の高まりを感じます。
インタビューではすべての台湾人の人がそうとは言い切れませんが、海外サイトを利用することに抵抗感が少なく、日本の商品・コンテンツに魅力を感じてくれていることがわかりました。マーケット規模としては中国、アメリカはどの大きさはありませんがその次に十分挑戦に値するポテンシャルを持ったエリアです。距離も短いこのエリアは物流の流れも非常にスピーディーで問題発生時の対応も早期に対応が可能です。なにより親日家が多く、日本のコンテンツに関心を持ってくれている人が多いことは大きなアドバンテージです。商材にあったマーケティングを正確に行い戦略を元に参入してみてはいかがでしょうか。
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