秋冬物が売れない?残暑に負けない季節戦略(ライフビジネスウェザー調べ)

ECのミカタ編集部

(株)ライフビジネスウェザー(以下、LBW)のビジネス気象研究所は、2016年8月10日、「秋冬物前線」の南下見通しを発表した。秋物前線とは、LBWが独自に分析する、秋冬物が売れ始める時期のこと。これにより、今秋の秋冬物の売れ行き見込みが明らかになった。

今秋の気候予想と商品の売れるタイミング

 LBWのビジネス気象研究会では、過去3年間の全国のPOSデータと気象の関係から、秋冬物の売れ始める時期を「秋冬物前線」として分析している。具体的には、「おでん」や「マスク」など、秋冬商材の売れ始める時期を「おでん前線」「マスク前線」として、天気予報図のように日本地図上に示し、前線が「南下」するとその商品が売れ始めるというように示している。

 例年の分析によると、お盆を過ぎて最高気温が30℃を下回る頃になると、「おでん前線」が、25℃になると湿度の低下とともに「マスク前線」や「ボディーローションクリーム前線」が南下することが分かっている。

 今年の傾向としては、全国的に残暑が厳しく、また秋にはラニーニャ現象が発生する見通で、9〜10月の気温は全国的に高めで、秋の深まりはゆっくりと予想されている。そのため、秋冬物前線の南下は、過去3年の傾向に比べて2〜3週間ほど遅めになりそうだ。具体的には、おでん前線が北日本から南下を始めるのは9月に入ってから、東・西日本に到達するのは9月半ば頃、マスク前線の南下は北日本で9月下旬、東・西日本は10月に入ってから、ボディローションクリーム前線の南下は北日本でも10月に入ってからとの予想だ。

 ここ2年は西日本中心に8月の気温が低く、早めに秋が訪れており、秋冬物前線も早めの南下となっていたが、今年は3年ぶりに遅めの南下となりそうだ。

過去3年の気候と商品の販売実績

 2014年と2015年の8月は西日本では気温が低く、比較的早く秋を迎えたが、2013年は今年と同様猛烈な暑さに見舞われた。この3年の秋冬物の販売傾向を調べたところ、やはり2014年と2015年早めに販売個数が増えていたのに対し、2013年は売り上げがなかなか伸びず、売れ始めの時期は2週間ほど遅めとなった。
 
 例として、ある地域のマスクの販売個数と最高気温(週平均)を見てみると、マスクは最高気温が25℃前後まで下がると湿度の低下とともに売り上げが伸びることが分かり、2013年のマスク前線到達(売れ始め)は40週目(10月初旬)、2014年は39週目(9月下旬)、2015年は38週目(9月中旬)だった。

今秋、EC店舗はどのような販売戦略を採るべきか

 暑い時期に労力やコストをかけて秋冬物を推しても、それに見合うだけの結果を得ることは難しい。だからといって、何もしなければ、売上は下がる一方だ。折角今回の分析のような情報があるのだから、何とかそれを売上につなげることはできないだろうか。

 例えば、残暑が長く続くのであれば、その分夏物の需要も長く続くと考えられないだろうか。いつもなら秋冬物に切り替える時期にも、もう少し長く夏物を出してみる。キャッチコピーや写真も夏のままではなく、残暑に疲れたユーザーに響くように工夫してみる。そういった方法もあるだろう。

 また、今回の分析では、おでん・マスク・ボディーローションクリームの3商品が前線として分析されていたが、これと同類の商品も同じような売れ方になると考えられる。該当する商品を扱う店舗は、特に今回の分析は役立つのではないだろうか。

 四季のある日本では、季節毎の戦略を立てる必要がある。気候の影響を受けるというのは、難しい面もある一方、その変化が大きなチャンスを生むこともある。今、特にEC業界では、顧客データの活用が盛んだが、気候も重要なデータの一つだ。ぜひ、このチャンスを活かして欲しい。


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