リクルートも始動、楽天・Yahoo!・Amazon融資サービス比較

ECのミカタ編集部

 「ポンパレモール」を運営する株式会社リクルートライフスタイルの親会社、株式会社リクルートホールディングス(以下、リクルートHD)は金融事業に参入し、中小企業に対する融資を行うことを発表した。

 実はEC業界においても、楽天株式会社(以下、楽天)、ヤフー株式会社(以下、Yahoo!)、アマゾン ジャパン合同会社(以下、Amazon)の3社がEC店舗に対する融資のサービスを行っている。

リクルートHD、中小企業支援へ動く

 リクルートHDが展開する金融事業は大きく分けて2つ。まず、いくつかのユーザー向け金融サポートサービスを総称した「リテール向け金融サービス」、そして今回新規事業として立ち上がった中小企業向けの融資事業「法人向け金融サービス」だ。

 ここで私たちが注目すべきは「法人向け金融サービス」だろう。中小企業が輝くための道筋をリクルートHDがサポートすることで、中小企業のEC業界における更なる活躍を期待することができ、業界全体が活気づくはずだ。

 さらに、リクルートHDが金融事業を展開するにあたり“強み”となってくる部分は、膨大なトランザクションデータ(商取引データ)やその他様々なデータを活用できることだろう。

 今後リクルートHDは、リクルートHD内にも10月1日付けで「金融サービス推進室」を設置し、また、法人向け金融サービスにて成長投資意欲の高い中小企業の事業資金需要をサポートする融資事業の可能性を検討するために、完全子会社として株式会社リクルートファイナンスパートナーズを設立するとのこと。本格的な事業開始は、来年の夏頃からとなりそうだ。

 ところで、今回のリクルートHDのみならず、EC業界を牽引する楽天・Yahoo!・Amazonの3社もEC店舗に対する融資サービスを行っていることをご存知だろうか。

楽天・Yahoo!・Amazon各社の融資サービスとは

楽天・Yahoo!・Amazon各社の融資サービスとは比較表の詳細はこちらから→http://ecnomikata.com/knowhow/detail.php?id=10740

 各社サービスの融資金額や融資利率などは、上の表をダウンロードし、参考にしていただきたい。

楽天市場

 楽天には、「楽天スーパービジネスローン」「楽天スーパービジネスローン エクスプレス」という2パターンの融資サービスが用意されている。それぞれ共通して対象者が“楽天市場出店店舗”ではあるものの、「楽天スーパービジネスローン エクスプレス」 に関しては、楽天市場の店舗専用ページ「RMS」上のカード自動決済(R-card Plus)画面に融資条件が提示された店舗のみが対象となっている。楽天銀行で口座を開設している事業者は、最短翌日での手続きが行えるので、すぐにでも資金調達をしたい場合にはありがたいサービスだ。

Yahoo!ショッピング

 Yahoo!ショッピングのビジネスローンはYahoo!が融資サービスを展開しているのではなく、三井住友銀行やYahoo!が出資するインターネット専業の株式会社ジャパンネット銀行が、Yahoo!ショッピング、ヤフオク!の出店者向けに融資サービスを行っている。決算書の提出は不要で、商品の販売情報や顧客評価を基に審査する。こうした審査方法は、日本の"銀行”では初めての試みだ。ビジネスローンを利用するために必要なビジネス用口座をあらかじめ開設している顧客へは、最短で翌日に入金が完了する。

Amazonマーケットプレイス

 融資金額の幅が一番広いのが、Amazonレンディングだ。これは、Amazonの基準を満たした事業者のみ利用することができる。2015年からは新機能として追加融資時に既存ローンを借り換えすることができるリファイナンス型のローンを追加した。これにより、借り換えによる追加融資が繰り返し利用できるため、返済期間が延長できる。また、ローン完済前でも追加融資の利用が可能になり、タイムリーな仕入資金の調達が可能だ。

ビジネス拡大を支援、各社融資の戦略が人気を左右するか

 いずれのサービスにも共通していることは、モール(マーケットプレイス) だからこそもつ膨大なデータを利用し、申込みを簡素化・素早い対応を実現しているという点だ。各社が、自社モールの出店店舗(販売事業者)をサービスの対象とし支援することで、出店店舗を囲い込み、自社モール全体を盛り上げることを目指している。

 ビジネスを拡大するにあたって融資を受けることが必要な場合もあるだろう。だからこそ、出店するモールを選ぶ際に、各社の融資のサービスが出店モール選定の指標になりうることもあるのではないだろうか。

 今後、リクルートHDも中小企業に向けてサービスを開始していくとのことで、ポンパレモールに関する詳しい規定などは、現在、明らかにされていないものの、融資を考えているEC店舗にとっては選択肢が広がることになるかもしれない。

 是非、EC店舗には自社にあった融資のサービスを利用し、無理のないビジネスを展開していってほしい。そして、私達もそんなEC店舗がEC業界で活躍していく姿を追っていきたい。

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