カメラのキタムラの歴史から学ぶ。ECで成功する方法

ECのミカタ編集部

今、注目するべきECサイト「カメラのキタムラ」

 インターネット通販売上ランキング2013年度版、第11位。Yahoo!ショッピング「エリアアワード2016」中国・四国エリア大賞受賞。「部門賞」では、中国・四国エリアの家電・スマホ部門にて第1位、「都道府県賞」では香川県で大賞に選出。今、注目するべきネットショップ、それが株式会社キタムラ(以下、キタムラ)が運営する「カメラのキタムラ」である。

 カメラのキタムラとは、写真用品を販売するチェーン店だ。全国に1,300もの店舗を持ち、本店やAmazon、楽天、ヤフーでECサイトも構えている。今回「エリアアワード2016」中国・四国エリア大賞を受賞したヤフー店では、デジカメや一眼レフ、交換レンズ、カメラ用品を主に扱っている。その他にも、時計やオーディオ、カメラのキタムラ店頭では扱いのなかった、テレビや冷蔵庫・エアコンなどの家電、文具の販売も行っている。

 そしてヤフー店にて顧客満足度を高めるべく、注文当日の発送や、最短でご注文の翌日に届ける「あすつく」サービスなども提供している。その他にも、自社サイトと商品情報を連携させ情報更新のスピード化に実現、知識豊富なカスタマーサポートを充実させ顧客対応に注力。その結果もあって総合評価では5点満点中4.6点を獲得した。

 ではインターネット通販売上ランキングの11位を獲得したり、Yahoo!ショッピング「エリアアワード2016」エリア大賞を受賞したり、なぜカメラのキタムラはここまで伸びているのだろうか。その秘密を沿革とともに読み解いていく。

カメラのキタムラ、実店舗とECの歴史

1934年、カメラのキタムラが高知県高知市に誕生。

1976年、岡山県に実店舗第一号を開設。ここからチェーンストア化が始まる。

1999年、インターネット事業開始。“時代を先読みしてお客様に喜んでもらいたい”という想いから、ネットにて商品紹介や商品販売、画像データ販売を軸とした新しい事業モデルを展開する。そしてYahoo!ショッピングモールにも出店。1995年にインターネットが人々に広まり、1997年に楽天市場が誕生、1998年にASPカート提供のパイオニアであるEストアーが立ち上がったことを考えると、カメラのキタムラはECの歴史と深く関わっていることがわかるだろう。

2001年、出店からわずか2年でヤフートップセールス部門賞を受賞。

2004年、リユース事業において全国のカメラのキタムラで中古商品のやりとりが可能になる。全国に構える実店舗とEC互いの利便性を合わせて、中古という1つしかない商品をより素早くお客様の手元に届けられるようになった。

2006年、全国1,300も存在する実店舗とECを組み合わせ、新しい試みを実現するべく、EC事業へさらに力を入れる。“オムニチャネル”がキーワードだ。

 それから顧客満足を追求し、EC事業を伸ばしてきた。2006年のEC事業本格化をきっかけにして、現在EC関与の売上は400億以上にものぼる。
 
 「Amazonマケプレアワード 2014」のカテゴリー賞を受賞したり、「Yahoo!ショッピングBest Store Award 2015」のYahoo!ショッピング部門賞・テレビ・カメラ・オーディオ部門2位を受賞など、大きな結果を残し、注目を集めている。「Yahoo!ショッピングBest Store Award 2015」 については、2008年度の受賞から8年連続での受賞だ。そしてその功績が、今回のYahoo!ショッピング「エリアアワード2016」にも繋がっているのだ。

Yahoo! 8年連続受賞「カメラのキタムラ」の戦略に迫る

EC成功の要因はオムニチャネル

 カメラのキタムラのECがここまで成長しているのは、2006年がターニングポイントとなったオムニチャネルへの注力が大きな要因なのではないだろうか。

 実際、キタムラのEC事業部長である逸見 光次郎氏は、ECのミカタコラムにて「オムニチャネルで評価いただいている通り、ネットと1,300の直営実店舗が融合して、よりお客さまが使いやすい環境を提供しています。」と語っている。

キタムラ 逸見氏のEC成長の道のりコラムはこちらから

 ECはインターネットで注文をし、自宅で受け取ることが主流になっている。しかしカメラのキタムラでは違う。8割近い顧客が実店舗で商品を受け取っているのだ。カメラはその日その時の思い出が蓄積され、決して安価とは言えない商品である。そのため、安心して購入し商品を受け取りたいというのが本音だろう。そこで1976年の実店舗第一号から始まった、全国1,300店舗が重要になってくるのだ。

 その地域に根付いた実店舗は、顧客にとって身近な存在である。ECで買い物の便利さを追求し、実店舗にて従業員が撮影デバイスや周辺機器の知識、思い出の残し方といった接客力を通して、顧客と密なコミュニケーションを取っている。

 このようなカメラという商材を扱うにあたっての、キタムラのオムニチャネル戦略における顧客からの信頼が、ECの事業の成長に繋がっているのだろう。そして現在400億以上のEC関与売り上げを、1,000億円まで伸ばすことを目指すという。今までの数々な賞などの功績を基に、今後どのような展開を見せるのかが楽しみである。


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