Amazon、新ポイントプログラムの実施を撤回

ECのミカタ編集部

Amazonジャパン合同会社(以下「Amazon」)は、先に表明していた新ポイントプログラムについて、その実施を撤回する内容のアナウンスを行った。同ポイントプログラムについては、出品者にほぼ一律で負担を求める内容となっており、独占禁止法における「優越的地の乱用」にあたるのではないかとの声も出ていた。

突如宣言された「出品者の一律負担」

Amazonは先に5月23日からマーケットプレイスなどの第三者である各出品事業者の商品に関しても一律で1%以上のポイントを還元するスキームを適用するとのアナウンスを突如として行った。

このポイント還元分については、出品者自身が負担する内容となっており、各方面に波紋を呼び起こしていた。この施策実施の背景には、競合する各種のECプラットフォームがポイント還元を行う中、Amazonも同様のポイントプログラムを開始し、し烈なユーザー囲い込み競争に対応しようとの思惑も見え隠れする。

Amazonについては同様のポイント還元の仕組みが弱く、自社商品を中心に一部の出品アイテムについて1%程度のポイントが付与されるのみだった。

Amazon5月から全商品に最低1%のポイント付与。EC事業者の負担は

噴出したAmazonへの批判と新ポイント還元の撤回

噴出したAmazonへの批判と新ポイント還元の撤回

このAmazonの新ポイントプログラムについては、各方面から批判や不満が噴出していた。特にAmazonという巨大ECプラットフォームの絶対的かつ優越的な地位を背景に、立場の弱い出品者に不利益を強いる内容ともなっていたからだ。

この点に関しては、独占禁止法が禁じる「優越的な地位の乱用」ではないかと指摘する声も相次いでいた。実際に公正取引委員会もまさにこの部分を問題視し、調査に乗り出していた。

これを受けてか今回Amazonは、新ポイントプログラムの実施について撤回するとのアナウンスを行うに至った。

Amazonに関してはかねてから公正取引委員会が問題視する事案がたびたび発生している。2016年には「最安値保証」、つまり他のECサイトと同じ値段かもっと安価での出品を事実上強制する内容の契約を推し進め、公正取引委員会による立ち入り検査が行われた結果、同契約は撤回された。

またこれは公正取引委員会が調査乗り出したとの情報は無いが、大型連休中にAmazonマーケットプレイス出品の商品に「Primeマーク」の表示をせず、出品者が「Primeマーク」を表示させたければFBAプログラムへの加入をすべきと、FBAへの加入を促す旨のアナウンスを行っている。こちらも各方面に波紋を呼び起こしたのは記憶に新しいところだ。

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EC市場そのものへも影響か

これらの近年のAmazonの動向を総合すると、出品事業者によってはAmazonでの売り上げが大部分を占めることも珍しく無い中、その巨大かつ絶対的なECプラットフォームとしての地位を背景に、出品者に結果として高圧的な態度を露わにすることが散見される状況とも言える。

この背景には前述したEC市場における、し烈なユーザーの囲い込み競争があるものと見られるが、今回のAmazonの新ポイントプログラムの事案については政府も問題視し、先に経済産業大臣が公正取引委員会に調査を求めることを旨とする会見を行っている。

今後については、こうした公正取引委員会などの動きがAmazonだけではなく、同様のポイントプログラムや第三者の出品で成り立っているECサイト各社にも波及することも考えられ、今回の一連の事象を通して、EC市場そのものの在り方に変化をもたらす可能性も大いにあり得るだろう。

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