Stripe、AI時代の「バーティカルSaaS」最新インサイトを公開
Stripeは2026年6月4日、AIの台頭によりソフトウェアへの期待が変化するなか、Stripeは急速な戦略転換を迫られているバーティカルSaaSプラットフォームに関する5つのインサイトを発表した。本記事では一部の内容を抜粋して紹介する。
SaaSプラットフォーム企業の8割以上が「AIをチャンス」と回答
AIによってソフトウェアビジネスがコモディティ化(※1)するという懸念は現実のものとなっている。一方、特定の業界に特化しているバーティカルSaaSプラットフォーム(※2)には、対象とする業界に深く根ざしているという強みを持っている。
Toastのプレジデント兼CFOであるエレナ・ゴメス氏は、純粋なソフトウェアやAIでは簡単に模倣できない方法で、顧客のワークフローに密着したサービスを構築することが重要、と指摘。「バーティカルSaaSで勝利を収める企業とは、顧客の世界に深く組み込まれ、顧客の声に耳を傾け続ける企業です」とコメントしている。
Stripeが実施した調査では、SaaSプラットフォーム企業の87%が「AIは脅威ではなく、むしろチャンスである」と回答。各社は実験段階から、収益化の段階へと急速に移行。
Bessemerのパートナーであるバイロン・ディーター氏は、非AI ネイティブのプラットフォームが、AIエージェントツールを追加することで成長を加速させている例として、「Canva」と「Intercom」を挙げた。
AIエージェントが「購買プロセス」で重要な役割
エージェンティックコマースの登場により、購買プロセスの発見や意思決定、決済の全般において、AIエージェントがより能動的な役割を果たすようになりつつある。
commercetoolsの共同創業者兼マネージングディレクターであるダーク・ホーリグ氏はこの件について「今、顧客の検索行動は変わりつつあります。『グレーのジーンズ』と検索する代わりに、『イベント登壇用にお勧めのコーディネート』と入力するようになっているのです。エージェント型の発見においては、こうした文脈の重要性がはるかに高まっています」とコメントしている。

※画像参照: Stripe、バーティカルSaaSに関する5つのインサイトを発表(ストライプジャパン株式会社)
AIエージェントが読み取り可能な商品カタログから、ヘッドレスチェックアウトAPI(※3)に至るまで、現在そのインフラを構築しているプラットフォーム企業は、将来的に5兆ドル(775兆円)規模に達すると予測。エージェンティックビジネスの機会を見据えて設計を進めている。
「WooCommerce」や「Commerce」「commercetools」は、人気の高い大規模言語モデル(LLM)上で自社の加盟店の商品カタログが適切に検索され、購入できるようにするための取り組みを進めている。
試験段階のAI価格設定について
AI機能を備えたSaaSプラットフォーム企業の86%が、すでにその機能を有料化している。一方、44%の企業が、最適なモデルを模索する中で「今後12カ月間に複数回の価格改定」を行う見込みだと回答した。
一部の企業はAI機能を既存のSaaS料金にパッケージ化しているが、従量課金制や成果報酬型の料金体系を通じて、独立した製品として個別に切り離して提供している企業もある。
これに対しデイブ・ユアン氏は「付加価値を提供できているかどうかを判断する最大の判断材料は、顧客がそれに対して対価を支払うかどうかです。プラットフォーム企業は、AI機能をプレミアムプランに組み込むか、個別のオプションとして課金することを検討すべきでしょう」
AI技術の進化により、EC市場を取り巻く環境は大きく変化している。各事業者は最新動向を注視しながら、自社に適した活用方法を模索していく必要があるだろう。
※1:「価格の安さ」や「手軽さ」でしか選ばれなくなる現象。
※2:特定の業界・業種に特化したクラウド型ソフトウェア。
※3:分離されたユーザー画面と決済処理システムをAPIで連携・制御。


