LTVを伸ばすダイレクトマーケティングのノウハウ -アドテック関西 サイバーエージェントブース レポート-

ECのミカタ編集部




アドテック関西内のサイバーエージェントブースでは9つのセッションを開催

写真左より、
株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 ダイレクトマーケティング局 エグゼクティブアカウントプランナー 稲益 仁氏
味の素株式会社 健康ケア事業本部 ダイレクトマーケティング部 竹盛 晋也氏



ディーエムジー・イベンツ・ジャパン株式会社は、11月26、27日、世界最大級のデジタルマーケティングカンファレンスであるad:tech(アドテック)関西を、大阪コングレコンベンションセンターで開催した。

関西の、関西人マーケターによる、関西人マーケターの為のイベントとし関西で初開催され、2日間で延べ3,470名の来場者を迎えた。
会場には複数のカンファレンスルームが用意され、5つの基調講演と24のカンファレンスセッションが行われ、展示会場では、34の企業が出展ブースを構える関西最大級のマーケティングイベントとなった。

カンファレンスルームの中には、株式会社大広、株式会社電通レイザーフィッシュ、株式会社博報堂、花王株式会社、株式会社サイバーエージェントと5社のプレミアムルームが用意され、各社主催のカンファレンスが行われていた。
今回は株式会社サイバーエージェントにより行われた9つのセッションのうちの一つ「売れることよりも、リピート顧客が継続することが最も重要。LTVを伸ばすダイレクトマーケティングのノウハウ」のレポートをお届けする

このセッションでは、株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 ダイレクトマーケティング局 エグゼクティブアカウントプランナー 稲益 仁氏、そして味の素株式会社 健康ケア事業本部 ダイレクトマーケティング部 竹盛 晋也氏がLTVを伸ばした事例を紹介した。

なぜLTVが重要?





なぜLTV(=顧客ひとりあたりから得られる生涯売上)が重要かというテーマで始まった今セッションは、マーケットの背景から説明が行われた。味の素の竹盛氏を迎えていることもあり、健康食品市場の資料をベースに講演は進む。

健康食品市場は2005年をピークに伸びは鈍化しているものの、ニーズは引き続き堅調。今後、更に高齢化が進むにつれ市場の拡大が期待できる市場だ。
そんな中、JADMAサプリメント登録制に登録した企業は1年間で175%増と新規参入が増えており、競争環境は激化している。
広告市場は新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、の4マス全てが減少傾向にある中、インターネット広告は堅調に成長している。稲益氏によれば、市場全体の合計金額は変わっておらず、マスからインターネットへの広告費シフトが進んでいるという状況だ。
インターネット広告の変化に関しては、運用型広告が伸びてきており来年度以降も伸び続け、2016年には70%を占める状態に、運用型広告へのシフトが進み入札価格の平均単価が上がっていく傾向にあるいう。それに伴いリスティング広告のクリック単価も年々上昇。クリック単価が高騰すれば、一件の注文を獲得するのにかかる費用であるCPOも高騰していくということになる。
高騰していくCPOをある程度低減することは可能だとしながらも、獲得件数を拡大するにあたっては、獲得単価が高騰した分LTVを上げて顧客1人から得られる売上の最大化を狙うことが重要だとした。

竹盛氏による事例紹介

LTV(Life Time Value)とは客単価×購入回数、できるだけ高いものを、できるだけ長く購入してもらうということ。竹盛氏は味の素商品の中から「カプシエイトナチュラ」の事例を中心にLTVの伸ばし方に言及していく。

同社は、お試し商品の購入からCRM施策を行いLTV最大化を目指す2ステップのプロモーションを中心に実施している。
テーマは、悪化するCPRに対してLTVを引き上げ、売上を最大化すること。方針は、定期購入者を効率的に獲得し、定期購入を辞めさせない。KPIは定期率、特に初めから定期商品を購入してもらう初回定期率と定期解約率を下げることと設定。

そうして行っていった具体的施策の一つ目はランディングページの見直し。初回定期率をKPIに設定し動画ランディングページを利用。動画完了時に利用者が選んだページA・BのCPRを測定した。CPRではAのほうが良かったが、その後の初回定期率やLTVの計測では、Bのほうが良い結果を示したという。
両ページの違いは、定期購入の説明がAページでは分散されていたことに対し、Bページではコンパクトに写真を使いながら集中させ、カートもページ上部に用意されていたこと。ユーザーボイスに関しても長期利用者を中心としたユーザーボイスとしていたことにより、初回定期率は14%(A)と24.7%(B)、LTVは14,948円(A)と18,078円(B)という差が生まれた。

更に、確認画面では定期購入のオススメを大きく表示することで、カート画面でのアップセル率が約240%改善。そして、購入完了画面では、それまでプレーンだったものをそこでも定期の案内を表示することで、CTRは3.3%、CVRは59.5%という、高い改善を見せたという。

定期購入の種別に関しても改善を図ったと語る竹盛氏。それまで毎月、隔月の2択としていたが78.1%の顧客が毎月を選択していたこと。12ヶ月後のLTVを比較すると、隔月を100とした場合、毎月は149%となるため毎月のみに変更、結果LTVの引き上げに貢献した。

定期解約率を支払い方法別で比較すると、代引き、後払い、クレジットカードでは自動引き落としの分、クレジットカードが一番定期解約率の低い結果となった。そこで、ECサイトでは表示をより大きく詳細にするなどし、クレジットカードへの誘導を強化、使用率を114%アップさせることに成功した。

更に定期購入を辞めさせない為にお試し購入者向けと定期購入者向けにメールを配信し、継続使用の必要性を訴求。健康商品における定期購入をやめる理由に多い、飲み忘れ対策のアドバイスを入れるなどして対策を講じたという。

竹盛氏の施策は全ての商材に当てはまるものではないが、LTVの引き上げに必要な要素や、ヒントが多く散りばめられていた。特に明確な方針と最適なKPI設定は、目標の達成度合いを計る指標となる重要なポイントだ。扱う商材やサービスによってKPIの設定も変わってくるので、経験とノウハウが物を言うだろう。
竹盛氏によると、今回紹介した事例により初回定期率は向上し、LTVは最終的に170%UPを果たしたという。


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