EC業界News1週間まとめ〜三越伊勢丹やレナウンの買い物の新発想/Instagramを本当に理解していますか?

石郷“145”マナブ

こんにちは。
編集長の石郷です。

さて、今週、読まれた記事はこちら。
【ヤフー】「いい買物の日」が2018年10月16日から史上最大規模で開催
https://ecnomikata.com/ecnews/20472/
「これぞECの底力」楽天うまいもの大会2018潜入 名古屋熱狂〜商店街の様な連携と最高級の品質
https://ecnomikata.com/ecnews/20471/
【オムニチャネル徹底解説】いつでもどこでも。オムニチャネルは買い物のスタンダードに。
https://ecnomikata.com/ecnews/20437/
【LINE Pay】キャッシュレス化をけん引!LINE Pay 据置端末申し込み開始|
https://ecnomikata.com/ecnews/20493/
【IoTが買い物を変える】物を置くだけで残量を自動管理・自動発注を実現する『スマートマット』|
https://ecnomikata.com/ecnews/20460/
クラウドECプラットフォーム『Shopify』が携帯キャリア決済に対応しストアの売り上げ向上を支援
https://ecnomikata.com/ecnews/20488/

正直言って、「うまいもの大会」の記事では600以上いいねがついて驚いています。

スーツも購入する時代ではなく借りる時代へ。レナウンの奇策

スーツも購入する時代ではなく借りる時代へ。レナウンの奇策

 今までは考えられなかったECというのが増えている印象を受けます。最近では「スーツすらも購入する時代ではないのか」と思ったレナウンが提供しているサービス。名前を「着ルダケ」といいます。

 要は、スーツのサブスクリプションで、例えばスーツを2着2シーズンを月額4800円で借りれるんです。そして例えば、最初春夏で着用していたとしたら、そのシーズンが終わる頃に秋冬用が届き、春夏用はレナウンに返却をします。その間、春夏用はどうしているかというとレナウン側が預かってクリーニングと保管をしてくれるわけです。

 スーツにおいては「あれ?あのスーツどこへやった?」と案外クローゼットがまとまってなかったり、「あ、まだクリーニングかけてないんじゃない?」と管理が行き届いていなかったりします。それに部屋のクローゼットのキャパにも限界があります。そういう悩みに一気に答えるというわけです。

三越伊勢丹はコーディネイトして購入してもらう発想

三越伊勢丹はコーディネイトして購入してもらう発想

 そのほかも、つい先日開始された「伊勢丹トランクサービス」というのもユニークで、特定のブランドで上から下まで伊勢丹の専門家がコーディネイトした4品というのが用意されていて、それが幾つかのブランドごとに提案します。人によって「23区」のコーディネイト、「INDIVI」のそれという具合に、自分の気に入ったブランドのコーディネイトを選んで、丸ごと送られてきて、実際に届いたもので試着をしてみるのです。

 お客様はその中から気に入ったものだけを選んで、残りは三越伊勢丹に返してしまうわけです。気に入ったものは購入でき、返却したものに関しては当然、お金がかかりません(ただしワンセットごとにサービス利用料108円がかかります)。要は、商品を手にするきっかけが変わってきているってことなんです。

Instagramで広告的にやっても意味がない

 商品を手にするきっかけが変わっているわけで、でも、そこに消費者の気持ちをどううまく乗せるかというのも重要な気がしています。この間、20代の女子の一意見として聞いていて、おもしろなと思ったのが、Instagramの話です。Instagramをキッカケにものを買ったというのですが、はじめは自分の好きなインスタグラマーのフォローなんです。インスタグラマーが商品を紹介していて、そこで、知らないブランドにめぐり逢うこともあるんですよね。

 それを契機に今度はそのブランドのInstagramにいくわけです。当然、自分の価値観の近いインスタグラマーのイメージに近いからそのブランドのInstagramを見て、最近ではInstagramから直接販売ページへ飛んだりしながら、そのブランドの商品をあれこれ複数見ながら、購入するわけです。

 これ、何が大事かというと、「インスタグラマーが紹介した商品をそのまま、商品を購入すること」が全てと思いがちですが、それだと本質を見誤っていて、そのインスタグラマーの持つ雰囲気(例えば、自分も細身で、インスタグラマーも細身とか)に共感しているから、そこで紹介される洋服なども、細身なら似合うタイプの服だったりするので、購入するわけなんですよね。

 紹介されたから買うのではなく、同じ価値観を持っているから買うという感じでしょうか。僕が思うのは、だからこそ、Instagram経由で売り上げ伸ばしたいから、と言って、とにかくフォロワーの多いインスタグラマーにせっせと広告で渡して、書いてもらう企業の無意味さです。

 そんなことをするくらいなら、いろんなInstagramを見て、自分たちの商品のテイストに近いインスタグラマーを見つけて、「あなたなら似合うと思います」と言って送った方が、よっぽどそれこそ、PR表記もなく自然に、自分の意思でInstagramにあげてくれるはずで、むしろそっちの方が意味があるというわけです。

 こうしてみると今やメディアが多様化して人が商品を選ぶきっかけが変わっていたり、テクノロジーの進化で購入シーンが多様化してきているわけなんですよね。従来の「買い物」という概念は変わってきているのかな、と思うわけです。

越境ECではあるけど着眼点が違うtokyotreat

越境ECではあるけど着眼点が違うtokyotreat

 一点、冒頭で話した「サブスクリプション」といえば、以前、越境EC系の企業にいて、今はMOVEFASTという会社にいる、鈴木 健徳さんから「一度見に来て欲しい」と言われて行ったお店が面白かったです。この会社は、お菓子のサブスクリプションをやっているんです。お菓子を複数まとめた箱を、お客様に毎月、毎月、送るのですが、そのお客様というのが欧米、EUの人のみなんです。
 
 そもそもどうやってお客様を集めたのかと聞いたところ、facebookで「tokyotreat」というページを運営していて、そこで親日のお客様でコミュニティを形成しているそうです。お菓子は軽いということもあり、海外に送るのにプラスに作用していると。

 季節性などを鑑みながらテーマを決めてそこでお菓子を仕入れて、決められたボックスに詰め込んで、フロー化して、それをまわしているというわけです。なかなか日本人でも商品を決めてから、越境ECをとなりますが、ある意味、日本のファンでコミュニティを形成して、日本らしさのでやすいお菓子を持ってくる着眼点が秀逸です。やはり前年比売り上げ170%成長だと言います。

 ECでただ売るという発想から少し離れて、どういうキッカケでお客様の気を引き、最終着地で ECにどう繋げて行くかという視点が大事だったりするのではないかなと思った次第です。

ピアリビングさんの新オフィス開設でふと感じたこと

 少し余談になるかもしれませんが、最後にもう一つだけ。防音グッズの商品を扱うECサイト「ピアリビング」さんが新しいオフィスを開設しました。バーカウンターなどもあるような立派なオフィスです。

 なぜに、敢えてここでこの話を取り上げたかといえば、店長の「ふーこさん」こと室水房子さんのコメントを見ていて、改めて気づいたことがあるからなんです。ふーこさんは僕が接する限りにおいても、人間想いで、「稼ぐ」と言うより「お客様に喜んでもらう」とか「社員の笑顔が第一」という感じの人なんです。

 そこで、気づいたのです。凄いオフィスだと思う反面、こういうオフィスになること自体がこの「ふーこさん」の目的というわけではなく、自分のやりたい事を突き詰めた結果、ここに辿り着いてたんだと。

 「何を以ってして世の中喜ばせたい?」そこが企業の原点なんだなと。きっと苦しいこともたくさん経験しているだろうけど、でもそれがあったから、社長として踏ん張れたし、ここまで頑張ってこれたんだなと。結果、このオフィスだと。もしも「金儲け」が目的ならこうはならないなと思った次第です。ECに限らず、ビジネスの核となる部分ってここにあるように思いました。

というわけで、今日はこの辺で。
笑顔溢れる1週間でありますように。
また来週お会いしましょう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

石郷“145”マナブ の執筆記事