SNS等における「なりすまし詐欺広告」の対策強化を大規模事業者に文書で要請 消費者庁
消費者庁は2026年8月7日、警察庁、金融庁、デジタル庁、総務省、法務省及び経済産業省と合同で、SNS等におけるなりすまし詐欺広告への対策強化について文書による要請を実施した。
本要請はSNS等を提供する大規模事業者、Google LLC、LINEヤフー株式会社、Meta Platforms, Inc.、TikTok Pte. Ltd.及びX Corp.に対して行われた。
広告主への本人確認の確実な実施を要請
今回、広告主の特定と追跡を可能とすることで、なりすまし詐欺広告の流通を抑止する観点から広告主への本人確認について、電子的な認証手段の活用を含む広告主への本人確認(※1)を確実に実施することが要請された。
また、広告主への本人確認について、具体的な実施内容(本人確認を行う場合及びその手段を含む)を2026年10月16日までに文書にてデジタル庁戦略・組織グループ(以下、デジタル庁)に報告することが求められている。
さらに、上記で報告した取組について、2026年10月1日から2027年2月28日までに実施した取組の結果(本人確認の手段ごと及び国内外別の実施件数及び割合、手段ごとの本人確認の不備を理由とした掲載却下の件数及び割合等)を2027年3月16日までに、文書にてデジタル庁に報告することも求められている。
広告の透明性向上に係る措置の実施
広告主や広告の信頼性を消費者・利用者等が自ら確認することを可能とする観点から、広告の透明性向上に係る措置も要請。具体的には、掲載する広告において「電子的な認証手段の活用を含む広告主への本人確認」を行った広告主に関する情報(広告主の名称、所在地及び身元確認の有無等)や広告の情報(広告である旨や主に生成AI技術を用いて作成された広告である旨、広告表示理由等)を確認することができるようにするなど。
これらの、広告の透明性向上に係る措置を講ずることを要請。具体的な実施内容を2026年10月16日までに文書にてデジタル庁に報告することとなっている。
さらに、上記で報告した取組について、2026年10月1日から2027年2月28日までに実施した取組の結果(具体的に広告上に表示した情報の内容、表示した情報の内容ごとの広告の件数及び割合等)について、2027年3月16日までに文書にてデジタル庁に報告することが求められている。
削除要請への対応の徹底
なりすまし詐欺広告による消費者・利用者等の被害拡大を抑止する観点から、なりすまし詐欺広告の削除について、刑法(明治40年法律第45号)(※2)や金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(※3)等の各種法令等に違反するおそれがあるなりすまし詐欺広告についても要請がされている。
具体的には、インターネット・ホットラインセンター等の既存の窓口等や法令所管省庁から削除要請を受けた際には遅滞なく判断を行い、迅速かつ適切に削除等の対応を行うことを求めた。
刑法や金融商品取引法等の各種法令等の規定も踏まえ、各社の広告の審査基準等において、なりすまし詐欺広告に関連する内容をどのように記載しているかについて、2026年10月16日までに文書にてデジタル庁に報告することとなっている。
さらに、2026年10月1日から2027年2月28日までに、各社において削除したなりすまし詐欺広告について、その理由(刑法違反、金融商品取引法違反、その他の理由等)及び契機(インターネット・ホットラインセンター等の既存の窓口や法令所管省庁等からの削除要請、自主的な削除、一般利用者からの通報等)ごとの削除件数を2027年3月16日までに文書にてデジタル庁に報告することとなっている。
また、インターネット・ホットラインセンター等の既存の窓口や法令所管省庁等からの削除要請については、要請があった主体ごとに、要請件数に対する削除件数の割合、平均対応所要時間、未削除件数の理由別内訳等についても同様に報告することが要請された。
なりすまし詐欺広告に対する自主的取組の強化が重要
ソーシャルネットワーキングサービスその他交流型のプラットフォームにおいて、ディープフェイクを用いて著名人の肖像や音声を無断で利用した、なりすまし広告を含む詐欺広告が広く流通。当該なりすまし詐欺広告を端緒とする、SNS型投資詐欺等の被害が拡大している状況にある。
これらは、広告を閲覧した消費者・利用者に財産上の被害をもたらすおそれがあるのみならず、なりすまされた者の社会的信頼を著しく損なうおそれもある。消費者・利用者(公印・契印省略)等の保護の観点から看過できるものではなく、関係省庁において対策の検討が進められている。
こうした状況を背景に警察庁、金融庁、デジタル庁、総務省、法務省及び経済産業省は「消費者・利用者等の被害の未然防止の観点から、なりすまし詐欺広告に対する更なる自主的取組の強化が重要であることを踏まえ、特に詐欺の入口として利用されているSNS等(※4)のうち、貴社のサービスにおいて、下記事項による対策の実施等に取り組んでいただきますようお願い申し上げます(※5)」とコメントしている。
なりすまし詐欺広告による被害が拡大する中、プラットフォーム事業者には広告主の本人確認や広告の透明性向上、迅速な削除対応などが求められている。今後、各社がどのような対策を講じるのか、動向に注目したい。
※1:電子的な認証手段である個人の確実な本人確認の手段の一つとして、マイナンバーカードがあり、また、法人の確実な本人確認の手段の一つとして商業登記電子証明書がある。
※2:著名人の名義を無断で使用して虚偽の投資実績を紹介する内容を表示するなどして偽造された事実証明に関する電磁的記録文書等をインターネット上に流通させるなどして行使した場合、刑法第161条第1項(偽造私電磁的記録文書等行使の罪)等に違反し得る。なお、その旨、インターネット・ホットラインセンターの「ホットライン運用ガイドライン」を2026年8月7日に、総務省の「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第26条に関するガイドライン」を2026年8月6日に改定し、新たに違法情報として明記。
※3:無登録業者等が、一見してそれ自体では金融商品取引業に該当しないかのような広告等を入口として、その閲覧者を誘導した先のウェブサイトやSNS等において金融商品取引業に該当する行為等を行う場合には、これらの一連の行為は、金融商品取引法第29条等に違反し得る。
※4:「警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」」において、SNS型投資詐欺の当初接触手段のうちバナー等広告の接触ツールとして割合が大きいYouTube(27.1%)、Instagram(16.3%)、TikTok(10.4%)、Facebook(6.5%)、LINE(4.8%)、X(2.1%)。
※5:本要請は、行政手続法(平成5年法律第88号)第2条第6号に規定する行政指導に該当するものであり、処分(同条第2号)に該当するものではない。


