百貨店アパレル、売上伸長率上位ブランドはECサイトへの投資が寄与 TSR調査
株式会社東京商工リサーチは2026年8月24日、2026年「百貨店向けアパレルブランド」動向調査の結果を発表した。本記事ではEC事業者へ向けて、関連する内容を一部抜粋して紹介する。
調査概要
◆調査対象:百貨店向けインショップを展開する上場企業12社
◆出典:2026年「百貨店向けアパレルブランド」動向調査(東京商工リサーチ TSRデータインサイト)
ネットと実店舗の連携が「売上伸長」に寄与
百貨店アパレルの上場12社の2025年度の売上高合計は、1兆1797億6800万円(前年度比11.1%増)となった。インバウンド需要や高価格帯が寄与し、過去6年で最高を記録。利益合計は555億2400万円(同1.6%増)で増益を維持した。
2025年度の売上高伸長率は 「▲5~0%未満」が5社で最も多くなり、次いで、「10~100%未満」の増収が3社、「5~10%未満」の増収が2社となった。
売上高伸長率のトップは、売上高トップのワールドで25.8%増。次いで、「23区」や「自由区」をブランド展開するオンワードホールディングスが13.6%増、パルグループホールディングスが12.9%増と続く。
売上高伸長率の上位企業は、主力ブランドの選択と集中を進め、ECサイトや自社アプリへの投資を継続。ネットと実店舗の連携強化が、売上伸長に寄与した。

ECを活用した施策が好影響
売上高と伸長率でトップのワールド(25.8%増)は、60以上のブランド展開の強みを活かし、不採算ブランドの廃止や実店舗のスクラップ&ビルドを迅速に進めた。
また、ECプラットフォームや自社アプリで集約した会員データをAI需要予測にダイレクトに反映し、過剰在庫を作らない仕組みを定着。セールに依存しないビジネスモデルを確立することで、コスト上昇を吸収している。
一方、2位のオンワードホールディングス(13.6%増)は、「23区」や「自由区」など百貨店で認知度が高い主力ブランドに経営資源を集中。さらに、高価格帯へのシフトでブランド価値の向上につなげた。
加えて、実店舗の販売員がEC上でコーディネートを提案する戦略が成果を上げ、店舗減をネット売上でカバーした。

ECサイトなどへの投資が業績を左右
百貨店アパレル12社の2025年度の業績と、2026年度の業績見込みを比較したところ、2025年度の決算で「増収増益」「増収減益」「減収増益」「減収減益」が各3社(構成比25.0%)と均衡。販売力とコスト対応力の差が露呈した。
一方、各社の2026年度業績見込みは「増収増益」が7社(構成比58.3%)と約6割を占めた。以下、「増収減益」が4社(同33.3%)、「減収増益」が1社(同8.3%)で、期首の赤字予想は1社にとどまった。

東京商工リサーチは「百貨店アパレルは、引き続き高価格帯の販売強化と主力ブランドへの経営資源を集中するとみられる。だが、円安や物価高に歯止めが掛からないなか、ECサイトや自社アプリへのデジタル投資やインバウンド需要の取り込みが業績を左右する状況が続く」とコメントしている。
アパレルブランドにおいてECサイトの存在感が増すなか、今後の動向にも注目したい。


